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内容説明
60年、ウルトラマンが胸に秘めていた真実。
令和の時代に解き放たれるウルトラマンの絶望と希望。
いまも幅広い世代から絶大な人気を誇り、2026年には地上波放映60周年を迎える『ウルトラマン』。そのウルトラマンの世界観を創り上げたのが、円谷プロの文芸部長でもあった脚本家の金城哲夫氏です。
第1章では、初代ウルトラマンのスーツアクター・古谷敏氏が、これまで明るみに出ることのなかった金城氏との交流秘話を初めて語ります。
そしてそれを受けた第2章では古谷氏に加え、ウルトラマンの大ファンである漫画家のやくみつる氏とライターの佐々木徹氏が集結。金城氏が単独で脚本を執筆した7作品、「謎の恐竜基地」「オイルSOS」「恐怖のルート87」「まぼろしの雪山」「禁じられた言葉」「小さな英雄」「さらばウルトラマン」について激論を交わします。
すると、これらの作品には意外な共通点があることが分かってきます。
それはウルトラマンの必殺技「スペシウム光線」が重要視されていないこと。
なぜ、金城氏はスペシウム光線を軽んじたのか。そこにはどんな想いが秘められていたのか。3人があらゆる角度から語り合った結果辿り着いた、驚愕の真実とは――。
(底本 2025年10月発売作品)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
41
ウルトラマンのスーツアクターでウルトラ警備隊のアマギ隊員、古谷敏の改装を基調にリアルタイム視聴者で大ファンのやくみつるとライター佐々木徹の対談で綴るテレビ特撮草創期の物語。私は、ウルトラQのケムール星人は不気味だったのを覚えているが、その「中の人」がウルトラマンだったと知ったのは、ウルトラセブンが始まってからだったろうか。当時のぬいぐるみの中に入るのは本当に命がけであったこと、そして顔が見えなくてもウルトラマンに誇りを持てた俳優の心意気とテレビ特撮草創期のサムライたちの話に胸が躍る。2025/11/05
Tomomi Yazaki
13
再放送のたびに見ていて、母から変った子とよく言われてました。そんなウルトラマンの厳選した7編を、ウルトラマンであり、かつてはラゴンやケムール人であり、そしてアマギ隊員でもあった古谷さんを交えて楽しく、未公開秘話も取り入れて語り合います。彼が語るに、ウルトラマンの動きは「能」を取り入れたものだそうです。言われてみれば確かに。それからスペシウム光線のポーズは力道山の袈裟斬りチョップという渋い技が元だそうです。そんな話が盛りだくさんで、あの短い30分の放送内に、沢山の宝物がちりばめられていたのです。2025/10/31
緋莢
12
前半はウルトラマンのスーツアクターであった古谷敏の回顧。後半は、古谷敏、やくみつる、佐々木徹による鼎談 という構成になっています。軸となるのは、脚本家・金城哲夫。「ウルトラQ」でケムール人、ラゴンのスーツアクターをした古谷敏ですが、その扱いは散々だったそうです。そんな中でも、ケムール人とラゴンの中に入っているのが同一人物だと悟られないようにした<そういう違いを表現することが、僕なりの役者としてのささやかな意地、譲れない矜持だったのです>という記述が強く印象に残りました(続く2025/12/06
スコットレック
3
長身でスリムなスタイルというだけでなく、ウルトラマンを演じるべくして演じた方だということが冒頭から本書を読んでよくわかった。手探りの番組作りの中、大袈裟でもなんでもなく、命懸けでウルトラマンを演じていた古谷さん。古谷さんがいたからこそウルトラマンもいた・・。第1章の古谷さんと金城さんとの絆、第2章の古谷さん、やくさん、佐々木さん、御三方の濃厚な対談と読み応えたっぷり!60年という月日が経った今も新たな発見を与えてくれるウルトラマンという作品。改めて本書でその偉大さが再確認できるはず!2025/10/07
ゆんろん
2
怪獣をやたらにやっつけないことを前面に出した『ウルトラマンコスモス』というシリーズも後年ありはするのだが、原点たる『ウルトラマン』でも意識してその方向性が(しかも金城氏の手でも)探られていたということをしっかり知ることができたのは収穫だった。NHK BS4Kで放映されている『ウルトラマン』はそろそろ最終回を迎える。「聞かれなかったから語ってこなかった」内容にいくつも触れられている本書を読むことができたのは時宜を得た僥倖だったのだと思う。2025/11/21




