内容説明
鎌倉初期・京都。戒律と理想に生きた一人の僧がいた――。十六歳で出家し求道のため自らの右耳を切り落とした明恵は、仏道に励み高山寺を開く。一世を風靡した法然を糾弾し、承久の乱の敗残兵を匿うなど、権力に屈せず釈迦の教えを貫く姿は、純真な魂そのものだった。気高さと無垢を併せ持ち、仏教史に鮮烈な足跡を刻む奇僧を、従者イサの眼を通して蘇らせた傑作長編。『あかあかや明恵』改題。(解説・玄侑宗久)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
50
華厳宗の僧明恵の生涯を、従者イサの目から描いた作品。仏陀の教えを通して、苦しみながら生きている人々を救おうと全身全霊で生きた明恵の人生に深い感銘を受けました。清冽と言う言葉がふさわしい人生です。非常に自分に厳しかった人で、五感の刺激が修行の妨げになると耳を切り落とす場面が出てきます。承久の乱で鎌倉方に追われた武士達をかくまい、彼らを守るために一歩も引かなかった強靭な精神力に頭が下がりました。私は鎌倉仏教の始祖たちを深く尊敬しています。明恵もその一人です。彼らの教えは、今の日本人の道徳の土台です。2025/11/11
hippos
14
自分で深く考えることが自分の「あるべきよう」の唯一の方法だということ、それこそが人がうまれてきた意味なのだろう。夢をみたことなどすぐに忘れてしまうのだけれど自分にもう少し注意を払いながら生きていこうと思いました。2025/12/17
kichy
9
明恵の臨終後にずっと仕えてきたイサが、浄土教を学んでみたいと思い、また、明恵はどう考えるのか聞いてみたかったと述べている。戒律が守られるわけもなく罪を重ねる凡人には明恵のような生き方は到底できない。一方で、ストイックな清僧の面だけでなく、人間臭く人情味があり、また、我々と同じように心揺らぐ明恵の姿もうかがえる箇所もある。釈迦の教えに忠実たらんとし、厳しく仏道を歩む明恵にとって法然の念仏の教えは受け入れ難いものだったが、少しは歩み寄れるところもあったのではないか。イサと同じく明恵に聞いてみたいと思った。2025/12/07
KT1123
4
鎌倉時代初期の僧明恵上人を、従者イサの視点から描いた作品。明恵は梓澤さんのこの時代を扱った他の作品でも出てきたのをぼんやり覚えている。若い頃に片耳を切り落とし、自戒とするなど、なかなか激しいエピソードもあるが、「あかあかやあかあかあかやあかあかや あかあかあかやあかあかや月」という歌は面白いてあ思った。2025/11/24
あひる三太郎
3
〝自ら耳を切り落とし理想を求めた異端の僧〟という帯を見て買ってみた。こんな人が実在したなんて!人生の指針となる本だと思う。小中学生の時に読んでいたら、もっと生きやすかったかも。解説の方も書いているように、私も間違いなくこの小説を繰り返し読むと思う。2025/12/07
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