内容説明
特異な歴史性をまとうイタリアは、現代思想に独特の介入を続けてきた。
観念よりも具体的な問題に関心が向かい、生政治、神学の世俗化、否定の思考等を巡る強力な思考が繰り広げられている―
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
d0g_ville
5
各章に明確な繋がりがあるわけではなく、ある章では建築について、またある章では芸術について語られている。未邦訳の書籍論文を多く取り上げており、中でもデリダが晩年に著した浩瀚なテクスト『獣と主権者』では辛辣なアガンベン批判が繰り広げられていたという事実については驚きであった。2014/08/17
きつね
3
この著者にしてはうすあじ。2014/03/01
Mealla0v0
0
デリダやドゥルーズといったフランスの知的巨人が亡くなったあと、イタリア現代思想は俄かに注目され始めた。だが、イタリアの哲学が注目される理由は、そうした外的要因に由来するばかりではない。本書はまず、イタリアが差異の場として機能して来た点からはじまり、アガンベンやエスポジトの生政治=死政治から非政治といった生の思想、イタリアの伝統的な美学とベンヤミンの交錯たる天使とカッチャーリ、あるいはバチカンのお膝元において格闘され形成された宗教哲学など、幅広く論じられている。西洋における「外の思考」の実践を垣間見るのだ。2016/11/11
ぷほは
0
デリダによるアガンベン批判については既に言及されているようだったが、『開かれ』についてはなかった。刊行年とのタイミングのズレもあるだろう。カフカやベンヤミンの思考はどこかヨーロッパの辺境の思想を呼び込むようなところがあると思うのだが、それを中世哲学やダンテに強いイタリアの思想家たちがどう捌くのか、という点では興味深い議論はいくつかあるものの、やはり本場のキリスト的身体論やら政治神学の方があちらにはしっくりくるようだ。アヴィラのテレサやエックハルトの議論をもう少し読みたかった。近代政治哲学との繋がりは微妙。2015/12/05
Bevel
0
ナポリの話とデリダの話がよかった。エスポジト推しな話はいまいちピンとこなかったな。2021/01/15




