内容説明
錯綜する幻覚的ヴィジョンの構造、分裂した自己像への視座、象徴主義の秩序を超えていく言葉のエネルギー、巧妙な自己笑劇化の装置‥そして「詩を書かなくなった詩人」としての晩年。
本書は評論でも研究書でもなく、「評釈つき詩集」だと著者は書く。
大枠は評伝・解釈を付けた詩集であり、それゆえ、入門書的関心の読者をも引きこむ本だが、一方で、「地面の詩学」「身体の詩/詩の身体」「母性棄却」「姦通系」など、独自の用語を駆使して、朔太郎に深く斬り込んだ高度な内容を併せ持つ。
読者を充分に楽しませつつ、同時に、豊かで不気味な詩世界に導く、まさに「たくらみ」に満ちた一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
miyagi
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詩作を中心に分析、時に彼の人生や社会情勢を補助線な引きながらみていく。 「月に吠える」が怖すぎてないた…「青猫」はメランコリー(憂鬱)のモチーフだそうで。近代(当時)の流行りだったワードらしい。それらしい。 「月に吠える」→ばくてりやの世界 きもちわるい(褒め言葉) 2017/12/21
狐狸窟彦兵衛
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春から断続的に読み続け、本日読了。国語の教科書に「猫」という詩が載っていて、妙に心に残っています。 『おわあ、こんばんは』『おぎやあ、おぎやあ、おぎやあ』『おわああ、ここの家の主人は病気です』 というあれ、です。この本には載ってませんでしたが、初期の詩に共通する「気持ち悪いけどそれが気持ちいい」という「倒錯した快感」が好きです。「ムンク」の「叫び」を見た時の衝撃に似ています。「叫び」も教科書で初めて見ました。教科書って、時々「変なもの」を紹介してますね。詩人の実生活と創作の間をつなぐ解説が面白かったです。2013/12/29
ぎんしょう
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詩人という立場から萩原朔太郎を読む。著者本人も「朔太郎を読むことは、どういう詩を書くかということだ」というようなことを述べている。伝記パートと、詩の注釈パートに分かれていて、どちらも簡単にさらうことができる。詩が挿入される分読んでて楽しいが、解釈としてあまり「新しい!」と感動するようなことはなかったような。ちなみに下敷きとして安智史『萩原朔太郎というメディア』が用いられているらしい。2012/02/17
yoko
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朔太郎が偉大な詩人ではなく、重要な詩人だと言い切る作者の観点が面白い。色々迷いの中で作られていく詩に口語体の詩としての息吹がともし始めるのを感じた。迷い悩むことの重要性も感じました。2021/07/30




