岩波新書<br> 共感の論理 - 日本から始まる教育革命

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岩波新書
共感の論理 - 日本から始まる教育革命

  • 著者名:渡邉雅子【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 岩波書店(2025/09発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004320791

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内容説明

五感を働かせた体験に基づいて感情を伝え合い,共感を育む日本の国語教育は,世界から遅れた弱みではなく,AI時代にこそ強みとなる.人間と自然の関係を結び直し,共感的利他主義をベースに政治・経済・法・社会の多元的思考を使い分け,他者と協働する力を養う.価値観の転換を迫られる世界で求められる教育がここに.

目次

はじめに――社会と教育の大転換
序 章  近代の矛盾とポスト近代の価値観
1 近代の特徴――四領域の機能の分離
2 近代社会の問題――肥大化した経済領域と資本主義
3 近代の矛盾の核心――自然と切り離された人間
4 新パラダイムの社会像――近代の矛盾を超えて
5 ポスト近代の価値観とは――利他に基づく「少ないほうが豊かな社会」
6 ポスト近代へのスイッチ――西洋近代資本主義と日本型資本主義
第一章  四つの教育原理――教育文化のモデル
1 教育の世界的潮流――その隠れた課題
2 教育の四つのタイプ――教育の目的と手段
第二章  共感の論理――社会原理の日本の教育
1 作文教育の隠れたカリキュラム
2 伝統的価値はいかに守られたか
3 なぜ日本の社会と教育が新パラダイムのモデルになるのか
4 多元的思考の必要性
第三章  教育のグランドデザイン――利他と多元的思考を育む
1 新パラダイムのリテラシー(読み,書き,思考する力)
2 リテラシーと社会化
3 文章様式による段階的作文教育
4 段階的読解教育
5 日本の来歴を知る――文化資源としての知識
コラム 文章の目的と様式を意識させる訓練
終 章  日本から始まる新しい秩序――利他と多元的思考が拓く未来
日本の教育への三つの提言
おわりに
参考・引用文献リスト

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

83
同じ著者のやはり岩波新書で「論理的思考とは何か」という本を読んでかなり印象に残ったのでこの本も手に取ってみました。教育の在り方を分析されたもので、論理的でわかりやすいのですが、もう少し詳しくされてもいいのではないかという気がしました。「四つの教育原理」というところで教育文化のモデルを提示され、日本の教育がパラダイムとなることを示されて最後に「日本の教育の三つの提言」が述べられています。いい本でした。2025/10/14

ゆうすけ

9
前著『論理的思考とは何か』は紛れもない傑作だと思いますが、本書の評価はなかなか難しいのではないか。言うなれば問題作かもしれません。新書にしては割と薄いのですが、主張はかなり刺激的です。少なくとも前作を読んでないと、ぶっ飛ぶかもです。一周回って日本の教育の素晴らしさが再評価されたということか。全然分野は違うけど、斎藤ジンさんの『世界秩序が変わるとき』もそんな内容でした。あと、できれば共感的利他主義というテーマをもう少し深掘りして欲しかった。2025/10/17

sk

4
日本の教育文化の優れているところ2025/10/20

HALI_HALI

3
著者は近代の資本主義の矛盾を重視し、その根底にある人間と自然を切り離す西洋の自然観を批判。これに対し、日本が育んできた人間を自然の一部と見る価値観や他者への共感・利他性を、ポスト近代社会を導く新しい原理と位置づける。 目的・相手・文脈に応じて異なる「論理スタイル(四領域の論理)」を使い分ける教育を提案。小論文と5パラグラフライティングという作法を道具のように駆使して、自身の考察を行うというもの。2025/10/05

アカショウビン

3
石田梅岩や作文教育、SDGs、ウェルビーイングなど頭の中でバラバラだったものが結びつく面白さがあった。教育原理の四類型、その中での日本の社会と教育こそが新パラダイムのモデルとなる可能性があるという話には励まされる。「勝利を収めるには、土地や森林や人を脱植民地化するだけではなく、わたしたちの心も脱植民地化しなければならない(ヒッケル)」その通りだと思う。利他主義への転換こそがポスト近代に必要なことになる。しかし現在の新自由主義下の富の収奪、人殺し(戦争)、虐殺、それを傍観する今の自分にはどうにも夢物語だ。2025/10/03

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