内容説明
新米イラストレーターの漣は、同期の個展の帰り道、居酒屋「のんの」に入った。いつの間にかついた同期との差を埋めるため、何かを変えなくちゃ! そんな焦りから抜け出すためだったが、そこには地酒と新潟県粟島の郷土料理、常連さんの笑顔があって……。正解のイラストに迷ったり、気持ちがわからなくて悩んだり、一歩を踏み出すのが怖かったりしても、居酒屋「のんの」のおすすめで今夜も乾杯。優しく見守り安心感を与えてくれる常連客の嶺さんの隣が、いつしか世界で一番居心地のいい場所になっていく――。今日が美味しく終われば、明日もきっと大丈夫。「こんなお店に行きたい」が詰まった絶品郷土グルメ小説!
目次
1.めぐり逢い ―わっぱ煮―
2.その先へ ―村上茶―
3.家族 ―細竹のピリ辛炒め―
4.月うさぎ ―カメノテの味噌汁―
5.悪意のゆくえ ―棒鱈の甘露煮―
6.心の怪我 ―わかめうどん―
7.隠しごと ―玉ねぎの肉巻き―
8.アネモネ ―芋ダコ煮―
9.のんの ―岩海苔ラーメン―
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
22
一日の終わりは新潟県粟島の郷土料理で。新米イラストレーターの漣が停滞した毎日の中で見つけた世界一居心地のいい場所を見つけて成長していく物語。同期との差に対する焦りを感じながら入ったお店で出会った、優しく見守り安心感を与えてくれるお店と常連客の嶺さんの隣という居場所。それをきっかけに少しずつ前に踏み出すようになっていった彼女が大きな仕事に向き合い、手応えを感じたからこそ思わぬ悪意が悔しくて、そんな時周囲の優しさにも救われた漣と、そんな彼女に刺激を受けて嶺さんもまた前に進み始める2人の関係がとても素敵でした。2025/09/18
RRR
1
書店に寄った時に、何気に惹かれた作品です。 壁にぶつかっている女性が「居酒屋のんの」に通うことで、人生が動き出す再生の物語です。三流の作家は、すぐに恋愛展開させますが、一切それがなったのが良かったです。味わうようにしっかりとゆっくりと読み進めていました。誰が読んでも、心の琴線に触れると思います。2025/09/21