宇宙のアノマリーはどこまで判明したのか - 標準モデルを揺るがす謎の現象

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宇宙のアノマリーはどこまで判明したのか - 標準モデルを揺るがす謎の現象

  • 著者名:ハリークリフ/熊谷玲美
  • 価格 ¥2,860(本体¥2,600)
  • 柏書房(2025/09発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784760156375

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内容説明

本書は標準モデル(標準模型ともいう)のアノマリー(異常)について面白く語っている。標準モデルとは、素粒子物理学では、宇宙に存在する4の力のうち強い相互作用、弱い相互作用、電磁相互作用の3つを記述するためのモデルのことで、20世紀における物理学の到達点とも言われる。宇宙論に関しても標準モデルがあって、こちらはビッグバンからはじまる膨張する宇宙について記述するが、標準モデルで説明可能なのはわずか5パーセント程度と言われている。どちらも、まだわからないことが多く、調べれば調べるほど数値の異常が見つかり、その理論の正しさが常に検証されている。これまで物理学は先に理論を打ち立て、それを実験によって確かめるという方法を取ってきた。ヒッグス粒子はその象徴的な出来事で、これによって標準モデルの正しさが確認された。そしてこれですべてが解明されたと思わずにはいられなかった。しかし、本当にそうだろうか? 徐々に実験精度が高まり、これまでの「標準モデル」から逸脱する実験結果が見つかるようになってきた。そのため実験結果から理論を見直すという方向に変化してきてもいる。本書はその現状とこれまでの経過を、研究者へのインタビューも含め、わかりやすく面白く書いている。さて、新しい物理学は見つかるのだろうか。

目次

プロローグ
第1章 宇宙の物語―宇宙の起源、物質の性質、そして私たちがまだ理解していないこと
第2章 惑星ヴァルカン―宇宙の理解を大きく変えた2つのアノマリー
第3章 不確かさにだまされる―科学を迷わせるアノマリーから身を守るには
第4章 氷の下から届いた粒子―南極の氷の下から現れたあり得ない粒子は、新たな亜原子世界の手がかりなのか
第5章 磁気のミステリー―ミューオンの磁気は新たな力の隠れた影響を明らかにするのか
第6章 機械の中の幽霊―ニュートリノの予想外の性質をめぐる20年来の謎には、隠れた宇宙への手がかりがあるのか
第7章 美と真実―LHCの物理学者たちは、説明できないふるまいをする素粒子を見つけた。亜原子世界のもっと壮大な描像の初めての手がかりなのだろうか
第8章 天界の争い―宇宙の膨張速度をめぐる意見の違いが宇宙論の世界に分断を生んでいる。宇宙の理解に変革が起きようとしているのだろうか
第9章 宇宙をめぐる謎―アノマリーが現れては消え、また新たなアノマリーが現れる
第10章 計り知れない創造の恵み

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

やす

9
現代物理学のナゾ集かと思って読んだのだが内容は科学史を塗り替えたような発見・観測は最初アノマリーとして始まりパラダイムシフトが起きることもあり、起きないこともある。という話を集めた感じである。真の現在のアノマリーとして紹介されているのはμ粒子の磁気モーメント異常とハッブル定数の2つの方法の測定結果の乖離ハッブルテンション。どちらも新しい物理の入り口になるのかもしれない。2025/12/25

ダージリン

6
素粒子物理学の標準モデルでは説明がつかない事象を捉え、未知の粒子や力を探ろうとする取り組みを描き出す。大掛かりな実験装置を使い大勢のチームでデータを取り地道な解析を行い、標準モデルからの予測と観測結果に統計的に有意な差があるかを探っていく。しっかりしたデータを取るために細心の注意を払い、大変な苦労が伝わってくる。こういう現場の苦労を描き出すのはこの手の本では結構珍しい気がするが、新鮮で面白かった。2025/09/18

Stevie G

3
高校生でうっかりこの本を読んで、すっかり感激して宇宙物理学や素粒子の道に進んでしまって、南極に行ったり、チリの高山に行ったり、はたまた宇宙に行こうと思ったりしたら、つぶしが効かない人生になって、一生かかっても何も見つけられず、結局高校の物理か数学の先生になってしまったかもしれませんね。ユーモアたっぷりで、近年の素粒子物理学の歴史、発展が語られていてそれなりに分かりやすかったです。この前、千葉市科学館に行ったとき、南極のニュートリノ検出器が置いてありましたが、これは前半の南極の話しに関係がありそうですね。2025/12/10

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