内容説明
「私、タトゥーイストになりたい」。
母の肌に彫られたタトゥーの美しさに魅せられ、同じ道を志した針生榴。
厳しい修行を積み重ねてタトゥーイストとなった榴だが、ある事件を機に母と決裂してしまう。
辛く苦しい別れを乗り越えタトゥーショップを開いた榴だが、慣れない経営者の仕事に弟子との対立、そして世間からの偏見の眼差しに晒されるうちに、本来の自分がわからなくなってしまい……。
「魂がもとめるものを、なかったことにできない」。
タトゥーイストとして生きる榴が辿り着いた答えとは。静かに情熱が燃え上がるヒューマンドラマ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
hiace9000
104
「タトゥーイスト」、いわゆる彫り師を職業に選んだ女性・針生榴。彼女の躓きや後悔、葛藤と苦難の末に辿り着いた道とは。未だアブノーマルでアンダーグランドな感の強いタトゥー、またタトゥーイスト。一度刻めば基本的に消すことのできない絵・文字を肌に残す決意を、かつてないソフトボイルドな視点から描いた今作。一女性のライフサイクルで直面する課題に悪戦苦闘しながらも、挫折の中で改めて自身の中にある信念と向き合い、人との繋がりの中で再起していく、お仕事小説の範疇には収まり得ないヒューマンドラマだった。魂修理人の真意に迫る。2025/12/19
タックン
97
図書館の新刊コーナーで題名に惹かれて借りた本。 お仕事小説でもあり、1人の女性の半生を描いた成長物語で力作だった。 阪神淡路大震災で孤児となった少女(榴)。その子を引き取って育ててくれた母のタトゥーを美しいと思い憧れてタトゥーイストを目指す。 いろんな障害があったが多く人との出会いや協力で若くしてタトゥー専門店の経営者となった榴。 そこでタトゥーを多くの人に認知してもらう理想を目指すが、タトゥーへの社会の偏見からか裁判沙汰に巻き込まれたり、離婚も経験してしまう。 負けずに奮闘する自立した榴が眩しい。 2025/11/19
papapapapal
44
あるタトゥーイストの成長物語かと思いきや、実話を織り込み社会的問題にも言及した意欲作だった。日本人が刺青を嫌うのは罪人に施した歴史があったからなんて聞いた気がしたけど、それ自体が極限定的な話。民族や家族の誇り、大人の証、魔除けなどの意味合いが大きく、歴史も古く、立派な文化だったはずなのに…なんでここまでタブー視されるようになっちゃったんだろ。タトゥーそのものより、臭い物に蓋をしたり何となく遠ざけて知らん顔する日本人の右に倣え精神の方がよっぽど変じゃない? 知って良かった、読んで良かったと思える一冊だった。2026/01/17
aki
27
タトゥーイストの母を持ち、自らもその道へ進むと決めた針生榴の生き様を描く。母の体に彫られたタトゥーに魅せられた榴は、ガムシャラに練習をし、榴の誠実でズバ抜けた技術が目に留まり、中学生で客を取れるように。そこから榴の人生は動き出す。お店も持ち信頼できるスタッフとも巡り合い家庭も持ったが、順調な経営とは紙一重に問題も押し寄せる。大好きな母への思い、自身のタトゥーイストとしての誇り、信念、情熱は揺るぎなく、それを持ち続ける事で偏見とも向き合い、大切なものを守って生きる様には胸を打つ。好きの原動力は何よりも強し。2026/01/04
まいぽん
18
タトゥーイストは魂修理人。タトゥーを入れることで、ずれていた魂と身体が一致して自分が自分になる、そんな感覚を得る人がいるんだな。私のタトゥーへのイメージがずいぶん偏ってたと知る。とはいえ一般的な世間のタトゥーへの印象は厳しく、それ故に榴の目指す道には苦難が立ちはだかり、一途な榴が案じられます。裁判と離婚で疲れ切った榴が光生との暮らしにも追い詰められていく場面は、子育ての辛かった時期がフラッシュバックして超しんどかった。榴の苦闘が身を結び希望を感じる終わりでよかったけど、現実は厳しそうとも思う。 2026/05/04




