人間狩り――狩猟権力の歴史と哲学

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人間狩り――狩猟権力の歴史と哲学

  • ISBN:9784750352329

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内容説明

古来より、人は、狩りの対象、つまりは捕獲、追放、殺害の対象だった。それは狩猟をモデルとした権力と暴力の歴史であり、補食関係の反転や解放をめぐる闘争の歴史でもある――。
「フーコーの再来」といわれた著者が放つ、新たな権力論にして異例の哲学。

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『スラムの惑星』『マルクス』著者、マイク・ディヴィス推薦!

「人間とは、人間にとって狼なのか。――ブレヒトが提起したこの問いに、シャマユーは、素晴らしくもぞっとするような答えを差し出す」

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目次

序論
第1章 二足歩行の雄牛狩り
第2章 ニムロド、あるいは狩人の主権
第3章 伝染病にかかった羊と狼男
第4章 先住民狩り
第5章 黒人狩り
第6章 狩る者と狩られる者の弁証法
第7章 貧民狩り
第8章 警察による狩り
第9章 狩りをする群れとリンチ
第10章 外国人狩り
第11章 ユダヤ人狩り
第12章 不法者狩り
結論
追記
訳者解題/訳者解題 注
原注

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

トト

4
フランス生まれの思想史家が、「人間狩り」を歴史的、哲学的に考察した訳本。捕食者例︰権力者、富裕者、白人、キリスト教徒、国家、警察・・・。被食者例:奴隷、黒人、ユダヤ人、貧民、無国籍外国人・・・。狩る側は合法的な理屈で群れて、襲い、追放する。狩られる側は、理不尽ながら屈服するか死ぬかの二択。人間でも動物でも狩る側は罪の意識が薄いのが厄介。学術的な書物なのでくどくて小難しい面もあるが、章で纏まっているので読みやすかったです。2021/11/05

瀬希瑞 世季子

2
シャマユーがフーコーの司牧権力に対置させる狩猟権力は、動く群れを自らの領土に捕獲し、捕えた個体の労働力や財を無慈悲に容赦なく採取し尽くし、個を群れから孤立させ、無力化し、蓄積の対象とする。そこに司牧権力のような"個か全体か"といったジレンマは存在せず、群れが全滅しても別の群れを探しに行き、収奪の限りを尽くせる。2つの権力がお互いに影響を及ぼしあいながら同時に作動するその境界線を考察することは、日本に限定しても技能実習生や入管問題、渋谷区の野宿者追放といった国家暴力に対抗するための重要な視座を与えてくれる。2023/01/31

葛城吉隠

2
人間の人間に対する狩猟についての歴史が明確に抱えれており、大変わかりやすい内容でした。また、各章がそれほど長い文章ではないため、非常に読みやすかったです。2022/01/07

JF1RLN

1
本書の「人間狩り」ってのは比喩ではなく、ホントに人が人を狩るという意味。それは公権力だったり、労働力を狩るためだったり異端を追放するためだったりする。そんな人類の狩猟権力がどういう主体によって行われるか、そんな主体がどう歴史的に変化してきたのかを描いている。それを通じて著者さんは最後の方で「普遍的な政治共同体の使命」を明らかにするための重要なヒントを得たい、としている。その理想は崇高で立派だが自己矛盾を抱えているようにも見えてしまうのが少し寂しいと思えてしまうところなのではあるまいか。そんな風に。2022/01/28

keitakasugi

1
人間を優勢と劣勢の人種に分け、抗いようもない重い危害を与えてきた司牧の権力と狩猟の権力の間の相剋と共犯関係か歴史の進展と共に姿を変えて目の前に展開するような本だった。2022/01/08

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