自滅帳

個数:1
紙書籍版価格
¥2,090
  • 電子書籍
  • Reader

自滅帳

  • 著者名:春日武彦【著】
  • 価格 ¥2,090(本体¥1,900)
  • 晶文社(2025/09発売)
  • ポイント 19pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784794980151

ファイル: /

内容説明

人はなぜ自滅するのか。
「死の欲動」が暗躍する闇世界に、なぜ引き摺り込まれ、沈みゆくのか──。

精神科医・春日武彦が描く、「自滅」をテーマにした13篇の文学案内。

海外編7作、日本編6作を取り上げ、破滅へ傾く人物たちの姿を描いていく。
紹介作品は、パトリシア・ハイスミス、ジョン・チーヴァー、デルフィーヌ・ド・ヴィガのほか、吉行淳之介、林芙美子、松本清張らの短篇も含まれ、名作もあれば、忘れられた小品もある。
これら作品の自滅者たちを紹介しつつ、著者自身の記憶や妄想が交錯する断章を織り交ぜて、読者をほの暗い精神の深淵に引きずり込む。
好評既刊『自殺帳』の姉妹編とも言うべき内容。
────────────────────────

“わたしは今までの人生で、自滅していく人たちを案外沢山目にしてきたような気がする。彼らは自暴自棄に陥っていたり、ふて腐れた挙げ句のセルフネグレクト的な生き方であったり、チープな「滅びの美学」に酔っていたり、緩慢な(あるいは生煮えの)自殺であったり、罪悪感の清算であったり、傲慢であったがための必然的な報いであったり、怠惰と自己欺瞞の結果そのものであったり、世間知らずゆえの悪因悪果であったり等々、さまざまな経緯から自滅へと到達していた。ではそのときに彼らはどのような心持ちであったのだろうか。”(「はじめに」より)

────────────────────────

【目次】
はじめに
01 淫景 松本清張『断崖』
02 満ち足りた生活 デルフィーヌ・ド・ヴィガン『子供が王様』
03 いじましい人 吉行淳之介『痴』
04 束の間の救い パトリシア・ハイスミス『手持ちの鳥』
05 トランジスターグラマー 林芙美子『牛肉』
06 死に際して思い返す景色 ウィリアム・トレヴァー『ピアノ調律師の妻たち』
07 なめるなよ 笠原淳『サイモンの塔』
08 異物 H・E・ベイツ『愛ならぬ愛』
09 不死の人 丹羽文雄『虚実』
10 はたらくこども アレクサンダー・マクラウド『ループ』
11 隻脚の画家 有馬頼義『小隊長、前へ』
12 蟹っぽい ジョン・チーヴァー『ライソン夫妻の秘密』
付録 犀を贈る トム・フランクリン『ダイノソア』
おわりに

────────────────────────

春日武彦(かすが・たけひこ)
1951(昭和26)年、京都府生まれ。日本医科大学卒業。医学博士。産婦人科医を経て精神科医に。都立中部総合精神保健福祉センター、都立松沢病院精神科部長、都立墨東病院精神科部長などを経て現在は成仁病院名誉院長。甲殻類恐怖症。猫好き。著書に『臨床の詩学』『病んだ家族、散乱した室内』(医学書院)、『恐怖の正体 トラウマ・恐怖症からホラーまで』(中公新書)、『無意味なものと不気味なもの』(中公文庫)、『鬱屈精神科医、占いにすがる』『奇想版 精神医学事典』『屋根裏に誰かいるんですよ。 都市伝説の精神病理』(河出文庫)、『自殺帳』(晶文社)等多数。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

空猫

25
Dr.春日『自殺帳』に引き続き今回は『自滅帳』。著者のおすすめの1つに『ファーゴ』と言うやる事なす事裏目に出て、周りを次々巻き込み最後は自滅すると言う映画があり(映画自体は退屈)そんな作品ばかりかと思いきや、何とも中途半端な埋もれても仕方のない作品だらけだった。それに関する体験談はいつも通り興味深いし、戦中戦後の日本の雰囲気を知るのには良かったが、今回は二匹目のドジョウ感満載だったな。また平山夢明サンとコラボしてくれないかな。2026/02/25

くさてる

14
「自滅」にまつわる13本の短編小説を取り上げ、その内容とそこから派生する著者自身の記憶や思いなども含めて論じた一冊。いつもの春日先生らしい内容。「自滅」というだけあって後味は良くない話が多いはずなのに、読み心地は悪くない。人間の思いも寄らない感じ、本来であれば起こりえないはずの「自滅」に至る心理のままならなさを思った。「土人形の水遊び」とは怖い慣用句だなあ。2025/10/25

澤水月

10
シリーズ?前著『自殺帳』に満ちていた絶望的トーンではなく、温かみ。ぬるく緩やかにダメになってゆく人々を描いた小説群にそれぞれ春日先生の想起した短文がつき、これがまた良い。山田風太郎「臨終図鑑」で川端ショックでガス自死未遂した有馬頼義のことが「作家」であるとも紹介されずしかし印象的に紹介されていたが、この有馬作品が本書採用され妙な感じで同一人物と気づいた。その他ワッツタワー題材に借りた作、義足男性と(その気もないのに)結婚する女性など人間模様さまざま。劇狭薬局などの実話譚も気になる 読了12/32025/12/11

XX

10
自滅テーマ小説についてのエッセイ。それほど陰々滅滅でもなかった。著者のエッセイは面白いのだが、紹介された本を後で読もうと思わないのは、ネタバレ上等で小説の一番肝の部分を解説してしまうから、自分でも読んだつもりになってしまうのかな。小説論の前後に主に本人の過去の思い出話が綴られていて強烈に印象に残ったのが、級友U君が犀やテングザルを溶かした水を著者や他のクラスメイトに飲ませたという話。アフリカから帰ってきた伯父さんが現地の人からもらったという説明はそれっぽいが、得体が知れなくてちょっと怖かった。2025/10/22

ピラミッド

6
「自滅」をテーマにした読書記録とそれに纏わる(著者の)過去の体験を踏まえたエッセイ、という感じ。やるせない話を集めているのでブルーな気分になれる。良い。氏はけっこう意地悪な視点で世の中を見ているなぁ、と感じてそこが面白い。一時期の不安定感から抜けているようで(失礼かもしれないけど)一読者として安心したり。2章の、気が狂ったインフルエンサーの話が気になった。2025/12/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/22856677
  • ご注意事項