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内容説明
痛いのは疲れる、そして孤独だ――
痛みは人を孤絶させる壁。が、そこに岩清水のように滴る言葉があった。
――鷲田清一(哲学者)
ユーモラスで、しみじみせつない、はじめてみる光。
――伊藤亜紗(美学者)
潰瘍性大腸炎から腸閉塞まで――壊れたからこそ見えるものがある。
絶望的な痛みと共に生きてきた著者がゆく“文学の言葉”という地平
・水を飲んでも詰まる“出せない”腸閉塞のつらさ
・痛みでお粥さえ口に“入れられない”せつなさ
・オノマトペ、比喩……痛みを「身体で語る」すすめ
・女性の痛みが社会的に「軽視」されてきた理由
・カントの勘違い、ニーチェの“苦痛の効用”…etc.
なぜ痛みは人に伝わりづらいのだろう?
「痛い人」と「痛い人のそばにいる人」をつなぐ、かつてなかった本
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
82
「痛みについて、文学的に語る本」です。個人的に過去の痛みはあまり覚えていませんが、著者は潰瘍性大腸炎という難病を持ち、常に痛みと付き合って生きて来たそうです。なぜ文学かというと、個人的な体験を描きながら、それを深く掘り下げることで、人間の普遍的なところにまで到達するものだからだと著者は述べています。数多くの小説からの引用があり、村上春樹の小説の一節も多く見られました。この本の元になったと著者の言う「廃品になってはじめて本当の空を映せるのだねテレビは」に一番グッと来ました。痛みとは、人生には欠かせないもの。2026/03/19
ネギっ子gen
72
【「オムレツの味をどう教えられたって食べなければ分らない」(山田太一)】潰瘍性大腸炎など絶望的な痛みとともに生きていた著者が、文学作品を紹介しつつ“「痛み」という個人的な体験”について綴る書。<痛いときには何も見えなくなるとも言えるが、ずっと痛みを抱えていると、どうしたって、ものの見方が痛くない人とは違ってくる。「痛みでねじくれた見方なんて興味ない」と思うかもしれないが、どんなものでも、いろんな方向から多面的に見たほうが理解が進むのは間違いない。現実という捉えがたいものについては、まさにそうだろう>と。⇒2025/12/09
けんとまん1007
63
痛み。確かに、痛みを伴ったことがある。とても苦しい3日間が続いた時のことが、今でも忘れない。しかし、書かれているとおりで、痛かったことは覚えているが、その時の痛み自体はうまく表現できない。痛みは孤独を伴うというのは、そのとおり。ここで思い出したのが、一昨日参加した、平田オリザさんの講演。コンテクストの違いとズレ。こんな風に、それぞれが響きあうとは。2026/02/24
佐島楓
58
本書が高評価なのに驚いた。文学作品の引用をしないで自分のことばで表現してくれと思うし、本をたくさん読んでいらっしゃるのだろうに誤読が目立ち感受性が低すぎる。特に女性の痛みに対する無理解にびっくり。一般の男性ってこんなものなの? 心因性というレッテルを貼られ苦しんだ身からしてこのことばにも著者は無意識の偏見を持っていると感じた。提言はいいのだがサドマゾの話に脱線して呆れたし、基本的な医学知識くらいお願いだから勉強して書いてほしい。苦痛を体感している私にとってはかえって苦痛な読書だった。2025/11/16
konoha
55
川上未映子さんとの対談で興味を持って読んだ。よく痛みに焦点を当ててくださったなと思う。潰瘍性大腸炎で13年闘病していた頭木さん。その苦しみはどれほどかと思うが、痛みを知る人の優しさが文章から伝わってきた。私も腹痛で苦しんでいた時期があって、痛いのは疲れる、孤独になる、に「そうそう」と深くうなずいてしまった。「来るか疲れ」にも共感。文学の引用が多く、博学で人間的に面白い方だと感じた。痛みだけではなく、他者や社会について知るヒントをくれる本。入院時やその後の生活の話も読んでみたい。2025/10/29




