内容説明
「俺、昔、喋る狼に会ったことがあるんだよ」カナダの温帯雨林にやってきた三人の日本人大学生。狼の生態に関するフィールドワークのかたわら、ひとりが不思議なことを言い出して──(表題作)。大人になる前の特別な時間を鮮やかに切り出した、四つの中編を収録。『叫びと祈り』『リバーサイド・チルドレン』の著者が贈る、ミステリ仕立てのエモーショナルな青春小説。/【目次】美しい雪の物語/重力と飛翔/狼少年ABC/スプリング・ハズ・カム
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
84
出ると言われて結構な時間が経っていたが何と著者の新短篇集が登場。読み始めて文章が描き出す澄んだ光景を頭に浮かべながら、あぁこんな感じだったと。書かれた時期はまちまちだがいずれのミステリも著者らしさを堪能できた。謎を解くことの意味、謎が解けたことの痛快さより、その氷解がもたらした感傷と救いの方が程よい優しさと共に心の中を満たし続ける。実は謎もリドルストーリーのように残っていて、本当の正解が明確に示された訳じゃない。でもどの篇もこうだったらいいなと思える答えを望んでいる自分がいた。またそんな謎解きを次作でも。2025/11/29
シャコタンブルー
51
2010年デビュー作から本年まで三冊の出版という寡作な作家だが、4話の短編どれも粒ぞろいで面白かった。「重力と飛翔」コーヒーカップが割れるシーンが鮮やかだった映画「ユージュアル・サスぺクツ」を称賛する高校生の映画オタクの死の真相をめぐる話で印象に残った。雪の中に置かれた赤い傘の謎。白と赤の色彩が生と死を象徴するようでいつまでもその残像が瞼に残った。「スプリング・ハズ・カム」高校の卒業式での出来事を現在33歳から当時の18歳を顧みると若気の至りではなく青春の煌めきとも思える切なさで輝いていた。2025/12/14
stobe1904
44
【日常の謎ミステリ】『祈りと叫び』が気に入ったため、手に取ることに。4つの短編で構成されているが、登場人物は少年から青年までの若者たちが中心で、日常の謎を瑞々しい丹念なタッチで前向きに生きる勇気を、また時にはほろ苦く生き様を描いている。日常の謎なので派手な展開はないが、それでもミステリとして最後のヒネリは効いている。最後の『スプリング…』のクロージングは印象的だが、反則気味かな?★★★★☆2025/12/01
かんらんしゃ🎡
41
知らない作家だし、この安っぽげなタイトルじゃ手を出しにくい。だけどレビューの評判が良くて、気まぐれに釣られてみた。「美しい雪の…」空気は村上春樹に似てる。同じハワイ舞台でいえば「ハナレイ・ベイ」とか。静かな作風の中に少しだけミステリアスで最後は優しくホンワカする。そして4編目の『スプリング…』にもビビッと痺れたー😲こういう拾いものがあるから読メがやめられない😊😊2025/12/06
koma-inu
37
著者待望の12年ぶり新作、4短編。どの話も青春ミステリで、少年から大人にかわる甘酸っぱさが素敵。謎解きがストーリーの深い所を突き、心がジーンときます。幼年期に喋る狼に会った記憶を暴く「狼少年ABC」。謎が解けた時の、愛情たっぷり感が心地よい。完成度高いヒューマンドラマ。15年前の卒業式で起きた事件を解明する「スプリング・ハズ・カム」。再読ですが、あの秀逸な仕掛けをもう一度味わえました。よく出来てます。ラストシーンで、再度号泣😭何編読んでもここは素晴らしい・・とても胸打つ傑作です。2025/12/12




