内容説明
◇この男は、列島を「ひとつの社会」にしようと企てた◇
低い家格から前代未聞の大出世を果たした男は、それまで幕藩体制が規定してきた列島の社会のあり方を一新しようと試みた。
税制改革、通貨一元化、蝦夷地の大規模開発……彼が企てた改革は未完に終わったが、その後の歴史展開に確かな足跡を残すものであった。
戦前は「日本史三大悪人」の汚名を着せられた田沼意次の評価を一転させた、記念碑的論考。
【本書より】
田沼意次の時代は、日本の改革と保守とが激闘した、江戸時代では最も面白い時代である。
【本書の内容】
はじめに
プロローグ──郡上一揆と田沼意次の登場
第一章 田沼意次の虚像と実像
1 田沼意次の履歴
2 つくられた悪評
第二章 吉宗の退陣と意次の登場
1 吉宗退陣と家重継嗣
2 左近将監の罷免
3 将軍の座を逃した松平定信
4 田沼意次の登場
5 幕府の権力構造と田沼意次の位置
第三章 田沼意次の政策
1 暗殺で阻止しようとした田沼の政策
2 流通税の導入
3 通貨の一元化政策
4 蝦夷地の調査とその開発政策
5 印旛沼の干拓とその挫折
第四章 田沼時代の社会
1 文人たちの時代
2 天災と災害の時代
エピローグ──「遺書」を通してみた意次の人柄
おわりに
解説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
8
田沼意次再評価の書として一世を風靡したということだが、本論の田沼評価よりも彼が世に出るきっかけとなった郡上一揆の話や、田沼時代の社会・文化状況、没落の過程での天命の飢饉と打ち壊しの話とかが面白い。解説によると、肝心の再評価については、特に「清廉な政治家だった」という人格面について本書の内容を真に受けるのは問題があるようだが。解説にある本書初版、あるいは岩波現代文庫版刊行時の社会状況との関係もなかなか興味深い。2025/10/01
Tomozuki Kibe
4
「べらぼう」ブームに乗って読了。これが91年に画期的な書であったと思うと、80年代に田沼を描いた「風雲児たち」の凄味。特に「知られざる」と本書である蝦夷地調査隊を事細か(やや誇張あるが)に描いていることに驚く。2025/10/02
(ま)
1
読書メーター2,600冊目 日本三大悪人、大賄賂政治家という評価は正しいのか 享保の改革に続き田沼がやろうとしたこと 松平定信一味が悪者のようだが...2025/10/06
-
- 電子書籍
- 【単話版】商人令嬢はお金の力で無双する…
-
- 電子書籍
- 怪物といわれる侯爵から溺愛されました【…