角川書店単行本<br> 天馬の子

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角川書店単行本
天馬の子

  • 著者名:高瀬乃一【著者】
  • 価格 ¥2,090(本体¥1,900)
  • KADOKAWA(2025/09発売)
  • 2026年も読書三昧!Kinoppy電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~1/12)
  • ポイント 570pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041153055

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内容説明

『貸本屋おせん』で日本歴史時代作家協会賞新人賞受賞、
『梅の実るまで』で山本周五郎賞候補となった注目の新鋭が満を持して放つ感涙の長編時代小説!

南部藩の村に生まれたリュウは馬と心を通わせる10歳の少女。厳しい自然のなかで名馬「奥馬」を育てる村では、時に人よりも馬が大切にされていた。リュウの家にも母馬が一頭いるが、毛並みの良い馬ではない。優れた馬乗りだった兄が二年前に亡くなり、家族は失意のなかにあった。祖父は孫娘に厳しく、母は小言ばかり。行き場のない言葉を抱えたリュウが馬の世話の合間に通うのは「柳の穴」と呼ばれる隠れ家だった。姉のようにリュウを見守る隣村の美少女セツ。村の有力者の優しくてドジな次男坊チカラ。「穴」に住む家無しのスミ。そこでは藩境を隔てて隣り合う村の子どもが集まり、自由な時を過ごしていた。

ある日、片腕のない見知らぬ男が「穴」に現れる。「仔は天下の御召馬になる」。馬喰(馬の目利き)の与一を名乗る男はリュウの育てる母馬を見て囁いた。将軍様の乗る御馬、即ち「天馬」。しかし天馬は天馬から生まれるのが世の道理。生まれにとらわれず、違う何かになることなどできるのだろうか? リュウは「育たない」と見捨てられた貧弱な仔馬を育て始める。

村を襲う獣、飢饉、「穴」の仲間や馬たちとの惜別。次第に明らかになる村の大人たちの隠しごと。与一との出会いから大きくうねり始めるリュウと仔馬、仲間たちの運命。なぜ人の命も馬の命も、その重さがこんなにも違うのか。馬も人も、生まれや見た目がすべてなんだろうか。いつか大人になったら、すべてわかる日が来るのだろうか?

生きることの痛みも悔しさも皆、その小さな体に引き受けながら、兄の遺したたくさんの言葉を胸に、少女と仔馬は生きる道を切り拓いていく。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

hiace9000

115
「馬の目を持つものは人の愚かさまで見通しちまうのさ」南部藩(青森)の寒村に生まれ、江戸に住まう公方さまを見ることはおろか、隣村にすら行くことすら憚られる狭い世界で生きる少女・リュウ。曇りなき眼から見た人の世。苛烈で不遇な運命とともに生きねばならぬ女たちや、銭や暮らしのため生涯村や馬に縛られながら死に急ぐ男たち。村に生きる人や馬の命の重みとは何なのか。自らが生きる道を切り拓こうと、まだ見ぬ山を越え、抗えぬはずの不条理と諦観にあえて抗い、強く生きるリュウの直向きさが「馬小説」の伸びやかさにしっくりと嵌るのだ。2025/10/30

タイ子

91
いつもの高瀬さんと違い、今作は青森が舞台で主人公は11歳の女の子・リュウ。そして物語の中心にいるのが南部馬の存在。東北の貧しい小さな村、厳しい環境の中、米の代わりに稗を育て、子供の間引きも珍しくなく、いつも空腹を抱えて生きている村人たち。飼馬はいつか売る運命、それまで子を産ませ高く売れるように育てていく。家族の事、馬への思い、去って行く友、耐えられない空腹感、このままでいいわけがない。幼い少女の抱えるものはいつしか外の世界に。そして、飛び出していくリュウ。普通に暮らせる幸せをしみじみ噛みしめる。2025/10/05

buchipanda3

88
奥馬の産地、南部藩の小さな村で育ったリュウ。厳しい自然の中、彼女が幼少から親しんだ馬と共に自らの道を見出そうと足搔きながらも粘り強く進んでいく姿が素直に心に響いた物語だった。厳しいのは自然だけじゃない。人も馬も生まれ落ちた瞬間に道が決まっているとされる世界。生きるために屈辱に耐え、諦め見ぬ振りをする。けれどリュウは生築や氷室から抗う気力を鼓舞され決意した。骨太な中、八高田が見せる壮麗な光景、純朴な方言の柔らかさ、何よりリュウの揺るがない温かみにとても魅力を感じ、さらに最後のあれには清々しい感涙に誘われた。2025/12/10

がらくたどん

57
またしても高瀬さんの「この表紙でこの内容?!」に目を瞠る。緑の大地、山並み青く澄んだ空。質素ながらもあどけない少女が駒を引く。でもその実は東北南部藩中の馬産と僅かな米作で食うや食わずの貧村に生きる少女リュウの物語。働き手の父と兄を亡くした一家は村の中でもひときわ貧しく肩身も狭い。人の命は馬より軽い。子どもの命は大人より軽い。女の「性」は何よりも軽い。冷害・獣害をここでただ辛抱しても先にあるのは何だろう。「はじめから、おかしかったのだ」馬とともに広い世界へ踏み出す一歩。再びこの村に還るための一歩が胸を打つ。2025/10/26

天の川

57
馬の話ではあれど…東北太平洋側の苦難が、女性の苦難が読んでいて苦しい。南部馬は奥州藤原氏に富をもたらし、近代の戦争でも軍用馬として使役された。本書は江戸時代。馬の捕獲や飼育は藩命による村を挙げての仕事で、その重圧は村の命運を左右する。冬には飢えた狼が馬や人を襲い、やませが吹く年はひどい飢饉だ。間引き、身売り、寡婦が男達の性の対象となり、馬達も雌雄や体格、その資質で運命が変わる。馬が好きでたまらない少女リュウはそんな現実を目の当たりにしながらも馬喰を目指す。彼女が友に宛てた最後の手紙で少し気持ちが和んだ。2025/10/03

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