内容説明
忘れられていた彼女は、誰よりも明るい大人になっていた
年齢や環境で、距離が変わるから面白い。
そんな“女友だち”の物語を書きました。――阿川佐和子
いつの頃からか、私は生涯の友というものを望まなくなった。女はいっときの悩みを共有できるともだちがいればじゅうぶんなのだ……。
四十を過ぎて、そんなことを思っていた頃、伯父の介護に通っていた病院で、「覚えてない? この顔」と、嬉しそうに駆け寄ってきた女性がいた。
彼女の名前は、丹野朋子さん。中学の同級生で、昔は存在感ゼロだった。太っていて、「ブータン」と呼ばれていた。
アラフォーになって再会した彼女は、ブータンという国に暮らしている人びとのように、世界一幸せ度の高い人間になるというのが、人生の目標になっていた。そして彼女は、夢を実現しているらしい。
ブータンに強引に連れられて、私は生まれて初めてカラオケボックスに行った。深呼吸するように、自分の思いを吐き出していた……。(第1話「ブータンの歌」より)
不思議な存在感のある「ブータン」をめぐって、さまざまな女性たちの人生が交錯する。
せつなさに胸が熱くなる、女友だちの物語。
文庫解説:中江有里
単行本 2022年6月 文藝春秋刊
文庫版 2025年9月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
丸々ころりん
22
渡辺万里子は叔父がいる老人病院で,丹野朋子(渾名はブータン)に声をかけられる。 中学時代の同級生 一度カラオケに行くが突然居なくなった丹野さん 万里子は中学時代仲良くしていた6人 1人に話 その時起きた盗難事件で丹野が犯人と疑われた話に 6人それぞれの想い疑心暗鬼 〝世界一幸せの国 ブータン〟からかいやいじめからつけたれた渾名でも,私は1番幸せと言った真意が涙を誘います。 2025/10/01
なんてひだ
7
で阿川佐和子さんのブータン途中の旦那を寝取られた所で読むのやめようと思いましたが、最後の方は娘さんがとても成長していくのが感動した。ただ章毎の語り手の問題が解決せずに宙ぶらりんなのが、違和感。ブータンの語りじゃなくこんな書き方あるのだねと勉強になりました2025/11/29
ねおさん
0
解説の通り自分の不幸さを呪う人は思いの外多い。 ブータンと呼ばれる丹野朋子はそんなことはなかった。 前向きな生き方をしようと思わせてくれる小説2025/11/05
けい
0
最初、ブータンの国の話かと思い手に取りました。 自分が、いろんな人の心の中にひっかかって残っていて、それを自分が知る由もないのは、なんだか幸せな事なのかもと思いました。2025/10/05
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