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内容説明
「朝日新聞社を人格化した人物」と評された上野精一.明治・大正・昭和にまたがる困難に満ちた生涯をたどり,新聞社創業以来の社論変遷の舞台裏の真実に迫る.社会が強圧的な独裁体制に飲み込まれようとする時,どう抗うことができるのか.引き返し不能地点はどこなのか.新聞の凋落が言われる中,ジャーナリズムのあり方を鋭く問う.
目次
プロローグ
凡例
上野家略系図
第一部 草創期
第1章 村山家とは異なる家風
『英国新聞史』を生涯の書に
第2章 二人の創業者 最初の試練
「同じ扱い」なのはおかしい
最先端の情報産業
ライバルの新聞『魁』との死闘
共同経営者の誕生
青年記者たちの心意気
新体制の船出
最初の圧力
政府との秘密契約
ライバル紙がついに廃刊
第3章 船場のお坊ちゃん
生まれは朝日新聞創業の三年後
「おとなしい、きゃしゃな感じの子」
野球に熱中した旧制中学時代
「エリート学歴」と「別の道」
「蛮カラ」の青春
好きな作家は夏目漱石と森 外
妻も強打者
第4章 全国中等学校優勝野球大会
東京朝日と大阪朝日が合併
「何もしなくてもいい」
新設の営業部長
南極探検隊問題で苦い経験
桐生悠々を「出入り禁止」に
漱石を追いかける
理一の補佐役として
全国中等学校優勝野球大会を開始
理一が娘に送った言葉
第5章 存亡の危機となった白虹事件
大正デモクラシー
「言論の自由」を求めた演説
舞文曲筆の深刻な波紋
退職組が『大正日日新聞』を創刊
病身で社長に復帰
理一の急死
絶妙のコンビ
第二部 真価が問われた時代
第6章 関東大震災
龍平社長の補佐役
社屋が焼失
震災による報道途絶
新聞の役割をめぐる論文を次々に発表
「新聞の社会的使命ということ」
普通選挙実現と軍縮のキャンペーン
第7章 分かれ道となった「社論転換」
中村大尉射殺事件
満州事変勃発
失われていた正式記録
社論転換
社史の空白
社長として、「主筆制」を導入
二・二六事件には電話で指示
「責任は自分がとる」
広田内閣の支持を決める
第8章 最後まで残った社会部の活気
「わたしや、そこ、社会部か、ウエノやが」
オールド・リベラリスト
戦時体制への協力
精一が会長に退く 後任の社長は村山長挙
「会社を辞める」
大本営発表の記事しか書けない
第三部 再出発
第9章 「戦争責任」を負って退社
社主制度の導入
『言論の自由』の翻訳
新聞学研究会で講演
悔恨と研究の日々
夏の甲子園の復活に尽力
「家庭の人」
世の中は廻り持ち
「上野コレクション」
図書蒐集家にして稀代の書誌学者
突然終わりを告げた研究生活
第10章 「新聞社」は誰のものか
「朝日新聞綱領」を制定
長挙社長と経営陣との対立
紛糾した株主総会
辞任を申し出る
猛抗議を沈黙で耐えた
役員会での決意表明
株式トラスト制度
村山富美子の果たした役割
色紙の言葉
第11章 新聞の聖?
晩年の穏やかな日々
上野記念財団の設立
『舞姫』の手書き初稿に込められた思い
「帰国はまだか」
広岡社長の号泣の理由
叙勲を辞退
後継者たち
第12章 新聞の未来
活字媒体の構造的危機
デジタル・ファーストの文化
エピローグ
注
主要参考文献一覧
写真・図版出典一覧
関連略年表