内容説明
芭蕉にとって、「おくのほそ道」とはなんだったのか。六百里、百五十日に及ぶ旅程を通して、芭蕉は大いなる人生観と出遭う。それは「不易流行」と「かるみ」だ。流転してやまない人の世の苦しみをどのように受け容れるのか。全行程を追体験しながら、その深層を読み解く。新書版『「奥の細道」をよむ』に、現代語訳と曾良随行日記を新たに付し、また大幅な加筆と修正を行った決定版となる。
目次
第一章 「かるみ」の発見/『おくのほそ道』の旅/歌仙「木のもとに」の巻/気に入らなかった芭蕉/平明な言葉で写しとること/芭蕉、最後の旅/隣は何をする人ぞ/心の「かるみ」/第二章 なぜ旅に出たか/漂泊の思ひやまず/蕉風開眼とは何か/心の世界を開く/音がきっかけ/切れと「間」/古池型の句/なぜ、みちのくなのか/第三章 『おくのほそ道』の構造/歌枕の宝庫/歌仙の面影/歌仙は芭蕉の骨髄/面影ということ/第四章 旅の禊──深川から遊行柳まで/別れと禊/深川(プロローグ)/千住(旅立ち)/草加/室の八島/日光(仏五左衛門)/日光(御山詣拝)/日光(黒髪山)/日光(裏見の滝)/那須野/黒羽/雲巌寺/殺生石/遊行柳/第五章 歌枕巡礼──白河の関から平泉まで/歌枕の廃墟/白河の関/須賀川(等窮)/須賀川(軒の栗)/浅香山/信夫の里/飯塚の里(佐藤庄司)/飯塚の里(貧家の一夜)/笠島/武隈の松/宮城野/壺の碑/末の松山、塩竈の浦/塩竈明神/松島(松島湾)/松島(雄島が磯)/瑞巌寺/石の巻/平泉(高館)/平泉(中尊寺)/第六章 太陽と月──尿前の関から越後路まで/宇宙的な体験/尿前の関(封人の家)/尿前の関(山越え)/尾花沢/立石寺/最上川(大石田)/最上川(川下り)/出羽三山(羽黒山)/出羽三山(月山、湯殿山)/鶴岡、酒田/象潟/越後路/不易流行について/第七章 浮世帰り──市振の関から大垣まで/さまざまな別れ/不易流行から「かるみ」へ/市振の関/越中路/金沢、小松/多太神社/那谷/山中/全昌寺/汐越の松/天龍寺、永平寺/福井/敦賀/種の浜/大垣/跋/エピローグ──その後の芭蕉/当門の俳諧、一変す/『猿蓑』の世界へ/曾良随行日記/芭蕉 略年譜/新書版あとがき/文庫版あとがき/句索引/和歌索引




