内容説明
「読む」ことに慣れないまま、ポイントだけつまみ食い。
ファストに、従属的に受信する快楽に身を任せてしまう。
…考えさせない時代に抗して、「批判的読解」をいかに取り戻すか?
注目の若き俊英が、深く精緻に書き尽くした本格的クリティカル・リーディング入門!
千葉雅也氏、推薦!
「誠実に読む。いま、時代に必要なのは、言葉に対して時間をとって向き合うことだと思う。
本書は、いわば「誠実な読解力」のための優れたガイドである。」
【おもな内容】
・解釈とは、自ら問いを発することによって、主体的に文脈を整理・形成する作業
・筆者の主張を成り立たせる論理構造(A=B=C=D、ゆえにA=D)をクリアに取り出す
・筆者が提示する議論の根拠を問うことで、筆者の議論の「強み」と「弱み」を見定める
・筆者の視点(その本が提示している枠組み)に忠実に沿って、その本の内容を整理する
・「XをAとして見る」という認識に自動的に組み込まれた「としての構造」を疑う
・「人文学的思考」とは、人間の精神や世界の在り方の「可能性」を取り戻すための思考
対象を「読む」ことで得られたものから、自分の手で新しく問いを設定する。
そこから生まれた思考で、世界に存在する視点を増やす――この時代に求められている、新しい「読む」力。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
三井剛一
16
一つ一つ丁寧に説明されており、あやふやだった「読解」というものが、少しつかめた。わからない部分に「問い」を立て、文脈から補い、意味を特定する。その際の問いを立てるパターンとして「具体」「根拠」「要約」「本質」を軸に考える。「具体・根拠」は、テクストそのものを整理・理解し、「要約・本質」は、テクストから離れて、外から読者の主体的な考えから、解釈を広げていく。読解に限らず、あらゆる物事を再解釈し、読み直す批判的思考が身につけられる。2025/11/06
しゅー
8
★★★読解力は問いを自ら提起して、文脈を補うことによって、意味を解釈する力である。そして意味とは言葉や出来事によって示される内容や価値だ。問いには①具体②根拠③要約④本質の4つのグループがある。①具体と②根拠はテキスト解釈のための問いで、③要約は内的な視点・④本質は外的な視点からの問いだ。①具体と③要約はテキストに忠実な問いで、②根拠と④本質は批判的な提起を行う。①例えばどういうことなのか?②なぜそう言えるのか?③結局どういうことなのか?④そもそも●●とは何か?テキストを離れて世界/他者/自己を読解する。2025/11/03
歩月るな
4
視野を広く持つって選択は、却って生きづらくなる。本当かなぁ、と思いつつ読む。まあ、学術書なんて読まないしなぁ、と言ってはなんだけど。本当に学部生ってこの練度で読書に向き合っているの? 大学生すごすぎない? 高校出て一年かそこらで身につく? って事を考えると十代から「この程度は出来る」レベルじゃないと知識でマウントを取るって行為に正統性は無いのかも。読んでないものについて語ったり、解説したり。批判と誹謗中傷の境界とか。2025/12/16
そーいち
3
テキストを読むことから世界を再解釈するところまでの道筋を、練習問題を入れつつ案内してくれる本で、文系学部の一回生で習うような内容だなという印象。 本だけでなく世のあらゆる事象に対して、与えられたものをそのまま受け入れず、批判的に見て自分の考えを作る。こういった作業をできる人にとっては自明のことであろうし、そもそもできない人にとっては、無用かもしれない。2025/10/06
読書家さん#kgmBnq
1
この本を読んだ後に感想をまとめるのは自分の読解力の低さを晒すようで怖いがまとめておく。 精読、要約、批判的に読む、問いを探すなどの重要性がわかった。 ただ、実践編ではその難しさを味わったが、そもそもの文章が悪いのではと思ってしまった。 差別がどうこうは話題にする必要があったのか。話題にする割には解決方法が他の見方をできるようにするということなのがモヤモヤする。世間での「常識」を自分だけ「偏見」として見直したところで自分が生きづらくなるだけなのではないか。この本に必要な内容なのか?2025/11/06




