イタリアのフルインクルーシブ教育――障害児の学校を無くした教育の歴史・課題・理念

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イタリアのフルインクルーシブ教育――障害児の学校を無くした教育の歴史・課題・理念

  • ISBN:9784750354712

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内容説明

1970年代から障害児のための学校を廃止しインクルーシブ教育へと方向転換したイタリア。その歴史的文脈を紀元前からイタールやセガン、そしてモンテッソーリまで概観し、理念と実践の発展・展開を「障害者の権利に関する条約」や教育方法論を踏まえて概説する。

目次

日本語版まえがき[アントネッロ・ムーラ]
凡例
序文
イタリアにおけるフルインクルーシブ教育に学ぶ[大内進]
第1章 教育的な意図の彼岸――遠い過去へのまなざし
1 「足跡」を再構築する難しさと障害の拒絶
2 「複数のまなざし」の必要性
3 「例外」から最初の興味の芽生えへ
第2章 ジャン・マルク・イタール――「独善的な診断」から教育的な関係へ
1 侮蔑と科学的な関心――一八世紀末のフランスにおける「異質さ」
2 違いの存在が「アイデンティティ」を育てる――ジャン・マルク・イタールと「アヴェロンの野生児」
3 教育的な介入と方法――ほのかな兆し
第3章 エドゥアール・セガンと「白痴」の教育
はじめに
1 エドゥアール・セガン――人柄と略伝
2 「白痴」の教育――思想と方法
第4章 フランスからイタリアへ――マリア・モンテッソーリ
1 「精神障害(知的障害)」――国外への関心からイタリアの文化的な文脈へ
2 マリア・モンテッソーリ――最初の人格形成期における医学、文化、社会参加
3 知的障害への関心とモンテッソーリ自身のコミットメント
4 自由としての教育
第5章 知育と人間形成の教育――長く複雑な文化的・社会的進展
1 公立学校における教育の道のり――初めての措置
2 世界的な変化――解放運動の広がりと政治的・社会的な変化
3 万人を受け容れる学校――三〇年の道のりの光と影
第6章 インクルージョンを実現するための新たな概念・文化モデル
1 障害を見つめる新たな視点――国際障害分類(ICIDH)から国際生活機能分類(ICF)へ
2 「精神遅滞者(知的障害者)の権利宣言」から「サラマンカ宣言」へ
3 二〇〇六年の国連条約
第7章 「ぺダゴジア・スぺチャーレ」と特別な教育方法論の貢献
1 「ぺダゴジア・スぺチャーレ」の目的と課題
2 インクルージョンのための教育法
第8章 インクルージョンのプロセスに現れる側面――いくらかの自覚と多くの挑戦
1 専門化されたスキルからスキルの共有へ――取り組みを包摂するシステム
2 世界を生きる――個別教育計画から生涯計画へ
3 世界を構築する――主人公としての市民
原著参考文献
日本語主要参考文献
訳者あとがき[大内紀彦]

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

74
イタリアでは障害のある子も普通の学校で一緒に学んでいるそう。 予算がないからだ、と言う陰口は違って、割と深く考えられてる。地域で一緒に暮らしていくために。 モンテッソーリの国ですもの2023/01/24

スイ

10
イタリア・ボローニャ国際絵本原画展での、岡野晃子さんの講演で触れていらした本。 障がいの有無で学校やクラスを分けることなく子どもたちを教育する、フルインクルーシブ教育について。 本書はイタリアの現在というよりも、フルインクルーシブ教育に至るまでを主に扱っていて、そちらも大変興味深く、読んで良かったと思えるものなのだけど、冒頭には日本の監修者さんが丁寧に、現在の状況について述べて下さっており、とてもバランスが良くてありがたかった。 2023/09/08

いとう

3
興味はあるが門外漢である(フル)インクルーシブ教育ということの他、訳本ということもあってさらに読みづらかった。生成AIを使いながら、自分の●●(専門)に関連付けて、噛み砕いてrewrite、説明してほしい、とプロンプトして読んだ。 知的障害に対する考えの歴史変遷(神託、憑依など)、いつから教育可能と考えられるようになったのか(野生児研究)、知的障害に対する教育とは何なのか(モンテッソーリ)、イタリアの法律の変遷など。 翻訳者の大内紀彦先生の(訳本ではない)書籍が刊行されたので、そちらを読むことにした。2025/06/13

takao

3
ふむ2023/05/22

koto

0
障害学やペタゴジアスペチャーレ(特別教育学)の理論や歴史が体系的にまとめられており、イタリアのフルインクルーシブ教育を学ぶ上での基礎となる本。 心に残ったのは、「自立的な選択を行うために、(略)支援が必要になったとしても、それは大した問題ではなく、人間にとって最も重要なことは、少なくとも自分自身のために選択ができるということなのである。」の箇所。 分離教育や施設による隔離政策を取る日本の社会は障害者を「管理」することで、本人の「自己決定の自由」を奪っているのではないだろうか。2023/11/01

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