内容説明
突然始まった単身生活。モットーは「“まあまあ”でいいじゃないか」。簡素に食事を調え、落語は読んで鑑賞、旧知の場所を訪ね、亡き人の思い出に親しみ、眠れぬ夜は百人一首を数える――迫りくる老いを受け止めながら日々を軽やかに過ごすコツを伝授し、人生の豊かさを再認識させてくれる滋味絶佳の老境エッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
129
阿刀田さんが伴侶が不在(病気で施設に入居)となって、90歳になった現在の状況をユーモアを交えて楽しませてくれます。私も他人ごとではなくもうすぐ80歳になるので参考にしたいと思い手にしました。よく一人で買い物に行ったり、食事を作ったりするものだと感心しています。自分はできるかどうかわかりません。ただこの本を読むとやはり好奇心などが旺盛で自分で何でもやっていこうという気があれば一人でもやっていけるということなのでしょう。2026/04/08
読特
66
老人にはキョウヨウが大切。生活リズムが生じる。張り合いが出る。今日、用はあるか?…奥歯が痛む。診断を受ける。狭心症。手術をする。無事でいられる。痛みよ、ありがとう。…人生を振り返る。チャンスを活かした。決心した。運に恵まれた。もし、作家にならなければどうしてだろう。…亡き人を恋う。あの日、あの時、交わしたあの会話。もっと親しく接していればよかった。会いたいなぁ、あの人に。…希望として、謀みとして、叡知として、後は無となれ、墓はなし。…一人暮らし。90歳。文筆を続ける。重いものを軽やかに。なんとかやってる。2026/09/14
さちこ
54
小さい頃ブラックユーモアを初めて知って、なんて面白いんだろうと感激した。阿刀田高のエッセイを読めて幸せだ。こういうふうにユーモアでいい方に考えて老後を過ごすと豊かな人生になるのだろう。2025/12/31
布遊
51
高橋源一郎の「飛ぶ教室」で紹介していた本で、阿刀田さんも出演されていたので読んでみた。かなり昔、阿刀田さんの短編をよく読んでいたが、ラジオから伝わってくる阿刀田さんの雰囲気にも惹かれたからだ。エッセイを読むのは初めてだったけれど、ラジオから受けた印象そのものの内容だった。若い頃、ホステスから聞いた内容が作品になった話。ユーモアとは・・朝ドラのラフカディオ・ハーンの生涯も取材していたようだ。最後の月の話も良かった。妻への愛情・・子供たちに迷惑を掛けないように・・健気な90歳一人暮らしの様子が伝わってくる。2026/02/17
佐々陽太朗(K.Tsubota)
49
老いをさりげない顔で受け容れる態度がカッコイイ。身体の小さな不調、同世代が一人また一人と去って行く孤独、老いは誰にとっても苛酷なものに違いない。阿刀田氏はそれを何でもないように書く。それどころかユーモアを持って楽しんでさえいるように見える。これはもう唯々カッコイイとしか言いようがない。90歳まで生きられる幸運が私に訪れるかどうかは判らないが、本書を読んだからにはもしそうなったらそれを不幸と感じることのないように生きよう。少しでも阿刀田氏の真似をして生きたい。そう思う。2026/06/04




