内容説明
「皇帝」という視点から、世界史の構造を読み解く一冊。世界が一体化する以前、それぞれの地域世界に皇帝が出現し、長らくその下で世界秩序が構築されてきました。中国の皇帝、ヨーロッパのローマ皇帝、イスラーム世界のカリフ、中央ユーラシアの大カーンが、その代表です。ですから、皇帝を軸に世界史を見ていくことで、世界史を貫く力学的な構造や原理、ダイナミズムを浮き彫りにすることができます。本書では、世界各地の「皇帝」位の誕生と地域世界の成立を描いたうえで、それらの権威同士が接触・衝突しながらも、その理念を損なうことなく存続して世界を動かしてきた様相(=世界史)を解説しています。皇帝は古代から現代に至るまで一貫して続く地位であって、世界と直結する存在・概念です。しかしながら、現在、上記の皇帝位は、不在・空位となってしまいました。一方で、中国やロシアの振る舞いを見る限り、それらは今もって権威を有していて、その理念が国際政治の潜在的な動因となっているようにも見えます。なぜそうなったのでしょうか。「皇帝」を視座に世界史を通観して、その理由も明らかにしていきます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
26
中国の皇帝、ヨーロッパのローマ皇帝、イスラーム世界のカリフ、中央ユーラシアの大カーンといった皇帝という視点から世界史の構造を読み解く1冊。中国、ローマ、イスラーム、モンゴルといった地域世界において、それぞれの皇帝がどのように誕生し、秩序を築き、衝突し消滅していったかを通史的に解説していて、モンゴルの大カーンが登場したことにより、皇帝権が一時的に世界秩序として統合され、以降も想像以上に大義名分が重要だった時期が続いたこと、皇帝の衰退が単なる制度の消滅ではなく理念の変容として捉えている点が興味深かったですね。2025/09/06
いつき 守
0
「皇帝」を切り口に世界史を叙述しようとする試みに興味があって読んでみた。ただ読みながら各所で違和感を覚えて仕方なかった。かリフを皇帝と位置づけ、スルタンを王にしてしまう…政治や軍事の権限を失い、宗教的・儀礼的な権威だけをもった天皇との比較で考えると分からなくはないが、一般的な認識との解離が大きい気がした。著者は高校で世界史を担当されていたようだが、授業でもそういう説明をされていたんだろうか?ウェストファリアを都市と記載するなど気になる点の多い図書であった2025/08/26
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