内容説明
社会課題である高齢ドライバによる交通事故について,加齢変化による身体機能や認知機能,持病や服薬の運転への影響など個人差に関する研究動向と知見をまとめた。免許返納や運転制限による健康への影響や哲学的な側面も俯瞰した。
目次
1.自動車運転に関わる人間特性
1.1 運転と人
1.1.1 自動車の社会的位置付け
1.1.2 高齢者特性
1.2 視覚機能と運転
1.2.1 視覚の重要性
1.2.2 視覚系の仕組み
1.2.3 視覚機能と運転の関係
1.2.4 シニアドライバの視覚特性と運転技術
1.2.5 高解像度没入型ドライビングシミュレータを用いた視野欠損模擬
1.3 認知機能と運転
1.3.1 運転を支える認知機能とその評価
1.3.2 認知症,軽度認知障害と運転
1.4 運転特性評価・教育
1.4.1 はじめに
1.4.2 ドライバの情報処理プロセス
1.4.3 事故を起こしやすいドライバ
1.4.4 訓練や教育による改善
1.4.5 実車による運転特性評価
1.4.6 ドライビングシミュレータによる運転特性評価
1.4.7 運転適性・検査
1.5 モビリティのインタラクション
1.5.1 概説
1.5.2 人とシステムとのインタラクション
1.5.3 先進運転支援システムとドライバのインタラクション
引用・参考文献
2.移動と健康
2.1 移動と健康―特に高齢者の身体機能,認知機能を中心に
2.1.1 超高齢社会の現状
2.1.2 健康寿命と平均寿命の格差と健康寿命の延伸
2.1.3 健康寿命の延伸とフレイル
2.1.4 移動
2.1.5 移動と生活空間
2.1.6 移動に関連する因子
2.1.7 移動と健康
2.1.8 移動と社会性
2.1.9 移動と認知機能
2.1.10 生活空間移動と医療ならびに介護施設の利用
2.1.11 歩行と健康
2.1.12 フレイルの影響
2.1.13 住居環境と高齢者の移動と健康
2.2 高齢者における運転の必要性と課題
2.2.1 高齢者を取り巻く運転環境
2.2.2 運転中止による弊害
2.2.3 認知症予防と運転との関連
2.2.4 運転寿命延伸における課題
2.2.5 運転寿命延伸プロジェクト
2.2.6 運転者のための運動トレーニング
2.2.7 おわりに
2.3 運転と健康
2.3.1 自動車の普及
2.3.2 自動車の普及に伴う健康被害とその対策
2.3.3 高齢化する車社会の新たな課題
2.3.4 高齢者は運転をやめるべきか
2.3.5 運転中止による健康への影響:疫学研究のエビデンス
2.3.6 多様なモビリティ支援の拡充を
2.4 向精神薬と運転
2.4.1 向精神薬とドライバ特性
2.4.2 精神障害と運転
2.5 運転中の体調急変
2.5.1 心疾患(不整脈),脳卒中,てんかん
2.5.2 低血糖
2.5.3 睡眠障害
引用・参考文献
3.移動と心理的well-being
3.1 自動車運転の楽しさ:ドライビング・プレジャー
3.1.1 自動車のもつ機能と価値
3.1.2 フロー理論
3.1.3 能力とタスクの難しさのバランス
3.1.4 運転の手応え
3.1.5 状況を支配している感じ
3.1.6 運転の楽しさについての調査
3.1.7 フロー理論と自動車運転
3.2 心理的well-beingの概念と測定手法
3.2.1 well-being概念に関する考え方
3.2.2 well-beingを測定するための指標
3.2.3 先進的な技術とwell-being
3.3 ムービング・プレジャー
3.3.1 自動運転への移行の過渡期
3.3.2 自動運転による安全向上
3.3.3 自動運転によって変わるライフスタイル
3.3.4 モビリティとwell-being
3.3.5 人間の運転における自律性
3.3.6 移動のwell-being
3.3.7 全体論的なムービング・プレジャーに向けて
引用・参考文献
4.モビリティにおける哲学的諸問題
4.1 羽のない二本足の動物
4.2 想像の引力
4.3 移動とコミュニケーション
4.4 モビリティとモダニティ
4.5 つぎは何?
4.6 絶え間ない前進と終わりのない不満足
引用・参考文献
索引



