ポスト印象派とユートピア

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ポスト印象派とユートピア

  • 著者名:永井隆則
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  • 三元社(2025/08発売)
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  • ISBN:9784883036165

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内容説明

ポスト印象派の巨匠たちは、なぜ独自の表現を追求したのか? 彼らが共有した「ユートピア芸術論」という新たな視点からその深層に迫る。印象派を経験しつつも、近代化社会の矛盾に批判的な眼差しを向け、理想郷を夢見た画家たちの創造的思考を紐解き、美術史におけるその位置付けを再定義する。

目次

序論
ユートピア芸術論の可能性 11
永井 隆則

第I部 ポスト印象派以前のユートピア
古代末期のユーラシア美術におけるユートピア――天国、地獄、そしてもう一つの世界 37
ヤシュ・エルスナー 加藤 磨珠枝 訳

十七世紀イタリアにおける「地上の楽園」の表象 60
倉持 充希

十八世紀フランス絵画におけるユートピア――理想の現実化としての庭園 86
吉田 朋子

変容する記憶と別様の世界――《スキュタイ人のもとに追放されたオウィディウス》から考えるドラクロワのユートピア 111
西嶋 亜美

第II部 ポスト印象派のユートピア
1 記憶と郷愁 140

「ユートピア」か「ユークロニア」か? 南洋のポール・ゴーギャン 141
ダリオ・ガンボーニ 藤原 貞朗 訳

セザンヌの郷愁――ユートピア、記憶、幻想 160
ニナ・マリア・アタナソグルー・カルマイヤー 永井隆則 訳

ポール・ゴーギャンとブルターニュ――南洋にもたらされた雪景色の追憶 181
小泉 順也

2 アナーキズム 202

ファン・ゴッホのパリンプセスト・ユートピア――日本、南仏、アナーキズム 203
圀府寺 司

カミーユ・ピサロにおけるユートピア思想と絵画制作 231
深尾 茅奈美

ポール・シニャック――《調和の時代》におけるアナーキズムのユートピア 256
マリナ・フェレッティ 深尾 茅奈美 訳

3 自律性と現象学 274

ユートピスト、セザンヌ 275
永井 隆則

ユートピア/セザンヌ 304
ドニ・クターニュ 工藤 弘二 訳

キュビスムにおける「現象学的ユートピア」と劇場空間 329
松井 裕美

4 エコー、デザイン、装飾、ジェンダー 354

エコーとしてのユートピア、デザインされたユートピア――ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの牧歌的なイメージ 355
エメ・ブラウン・プライス 蔦谷 典子 訳

ユートピアと「女性の芸術」――マリー・ローランサンを中心に 376
天野 知香

マティス作品に向けられたユートピア的まなざし――マシュー・ステュアート・プリチャードの思索 408
レミ・ラブリュス 小寺 里枝 訳

あとがき 431
――――
人名索引 1
Summaries 11
ユートピア文献表 27

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Jampoo

11
図書館で借りてゴッホの項のみ読了。 ゴッホは南仏を「日本そのもの」と呼びそこに理想郷を見た。 日照時間の長く明るい色彩世界というだけではなく、「日本」にあるはずのプリミティブ的生活と社会主義的共同体を南仏で生み出せると考えたのだろう。 ゴッホには絵のイメージしか無かったが、社会や政治思想にも関心があったというのが意外で面白かった。 彼の日本趣味を考えるにあたって興味深い論考。2025/11/23

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