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内容説明
形を変えて反復する、昭和100年の教訓。
昭和100年に当たる2025年。戦後80年を迎える日本は「新しい戦前」と叫ばれて久しく、諸外国では戦争が相次いで起き、帝国主義の論理が甦っている。覇権国家の道を歩んだアメリカがその役割を放棄し始め、「西洋の敗北」も露呈するーー。
そんな危機の時代について、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏は「モデルとなる国家がない時代」だと語る。そして、こう続ける。「同じ時代に理想となるモデルを見出すことができない場合、私たちは過去の歴史を振り返ることになる」。
歴史の教訓を未来につなぐ。それをドイツの社会哲学者ユルゲン・ハーバーマスは「未来としての過去」と表現した。
本書は、佐藤氏と思想史研究者の片山杜秀氏が、昭和からの地続きで現代社会を見渡し、戦前から反復している課題、時代間の決定的差異や断絶を明らかにしつつ、「未来としての過去」たる歴史の教訓を浮かび上がらせた対談の記録だ。
新しい戦前、新帝国主義、アメリカの弱体化と西洋の敗北、ニヒリズム、ポストトゥルース……様々な困難に直面する危機の時代に生きる、「知の巨人」2人の白熱討議!これが戦後80年、昭和100年史の決定版!!
(底本 2025年8月発売作品)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
127
1世紀を迎えた昭和史は、明日に希望をもって生きたいと願う日本人の迷いと苦闘の連続だった。政党政治への失望から太平洋戦争へと暴走し、徹底的敗戦により民主主義万歳となり、経済大国化と失われた30年を経験して政治経済の行き詰まりが「新しい戦前」と呼ばれる逼塞感をもたらした。モデルとなる国はなく、憲法の掲げる理想も潰え、強い悪が弱い正義を平然と踏みにじる国際政治の現実が国民性をニヒリズム化させたと見る。そんな時代に抗さねばという点で両者は一致するが、国民に明日への希望を与える具体的な方策を探しあぐねているようだ。2025/09/07
あすなろ@no book, no life.
81
今年は昭和100年・終戦から80年の年。考えてみれば当たり前だが、個人の人生では追い付かない長さ。毎年この時期には戦争について考える本を読む様にしており、その一冊である。現代の知の巨人とされる佐藤優・片山杜秀両氏の対談により進む昭和100年史は、現在のニヒリズムが強まりきな臭い世界情勢に向け実に多数の示唆を与えてくれる。また、知っている過去の事象も実はそういう示唆であったのかという気付きを与えてくれる。現在、かつての米の様にモデルになる国が無き我が国。昭和100年を振り返って学ぶに良き時期と思うのである。2025/08/14
まーくん
81
残念ながら、今のところ書影が無いが、新書カバーには「知の巨人」白熱討議!混迷の”昭和100年以後”に生きる のコピーが躍り、クセ強のお二人の写真が並ぶ。怪僧ラスプーチンの如き佐藤優氏の著作はこれまで何冊も読んだが、片山杜秀氏は最近『未完のファシズム』を読んだだけ。実はそれまで片山氏は音楽評論家とばかり思っていて、慶応大学法学部教授と知って驚いたのでした。さようなことは、さておき本書の内容は今昭和100年(戦後80年)を迎えて、歴史は新たな戦前を辿っているのでは?という問題提起で、新帝国主義とも言える⇒2025/08/04
kawa
31
今年は昭和元年からカウントすると100年。佐藤氏と「未完のファシズム」の片山氏とがそんな100年を語る対談。あらゆる場での天皇の行動免責のためにわざと「みんなが無責任になって、危機の際に誰もリーダーシップが取れない」との欠陥が明治国家の制度設計に埋め込まれていたとの片山氏の指摘が興味深い。当初は超法規的な存在の元老がその欠陥を補っていたのだが、彼らがいなくなった昭和の時代に、期待された衆議院(政党)が機能的に働かず、見通し甘々軍部の独裁に運命を託してしまったのが悲劇の原因とされる。なるほどの知見が面白い。2025/10/06
funuu
13
本書は、2025年が「昭和100年」、戦後80年に当たる節目を迎えることを背景に、昭和時代(1926年~1989年)から現代に至る歴史を振り返り、現代社会が直面する危機を乗り越えるための教訓を抽出することを目的としています。佐藤氏が「モデルとなる国家がない時代」と定義する現代において、過去の歴史を「未来としての過去」(ユルゲン・ハーバーマスの概念)として見つめ直し、歴史の反復や断絶を分析します。全6回、計20時間にわたる対談を基に構成されており、以下のような章立てで展開されます:2025/08/15




