内容説明
「俺たちは、面白いから記事を書くわけじゃないですよ。伝える必要があるから記事にするんです」
大手全国紙の整理記者を辞め、実家の印刷所が発行する「地域紙」編集長になった戸倉大介。
部数1万部、編集部員3人、週3回発行、全4ページ。人口25万人の平和な地方都市に事件は少なく、行政発表や街ネタが中心の、刺激に乏しい紙面だ。
そんな中、SNSを駆使する若き市長が自宅前で何者かに襲撃された。これはテロか?
その事件が、戸倉の記者魂に火を付けた。
人手も拡散力も速報性もない。それでも、地元で起きたこの事件の真相を誰よりも深く、正確に報道してやる。
裏を取れないことは書かない。特定の人物の主張だけで記事にしない。引用だけのこたつ記事は載せない。
元新聞記者の著者が報道の矜持を問う長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
189
大手全国紙を辞め、実家の印刷所が発行する地域紙前崎日報編集長になった戸倉大介が主人公。SNSを駆使するやり手新人市長を狙った襲撃事件の真相を追いかける。昔取った杵柄で新聞記者の生態を描写するのはお手のもの。堂場流に報道の矜持を問うてニュースが消える日を迎える。2025/09/05
starbro
172
堂場 瞬一は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 本書は、地方新聞記者社会派ミステリ、読み応えがありました。但し、ニュースは永遠に消えないので、新聞(紙媒体) が消える日だと思います。 https://www.kodansha.co.jp/book/products/00004157092025/09/08
trazom
107
地方都市で市長が襲撃される事件を題材に、新聞、警察、政治などの関係が描き出される小説。著者が元新聞記者であるだけに、事件報道をめぐる駆け引きが臨場感をもって表現されている:全国紙と地域紙との力関係、新聞社における本社と支局との関係、記者と整理部との確執、警察官と新聞記者との密接性、政治に対する報道のスタンス、SNSを活用した政治家の振る舞い、SNSと新聞記事との関係など。それらのプロット毎に、現実の何らかの事件が彷彿となる。報道に関する多くの問題提起に満ちた小説だとは思うが、ちょっと、長すぎるかも…。2025/12/14
まちゃ
60
人口25万人の地方都市で、実家の印刷所が発行する「地域紙」の編集長を引き継いだ戸倉大介。SNSを駆使する若き市長が何者かに襲撃された事件が、彼の記者魂に火を付けた。ニュースが消えることはないでしょうが、既存メディアは時代に合わせて変わらざるを得ないでしょう。2025/09/09
ムーミン
46
正直もう少し今のマスコミ業界に深く突っ込んでいく内容かと思って読みました。読みやすかったです。2025/11/20




