内容説明
10年ぶりに返却された本の謎――
「はこぶね」のような図書室がつなぐ〈本と人〉の物語
10年前に貸し出されたままだったケストナーの『飛ぶ教室』は、なぜいま野亜高校の図書室に戻ってきたのか。
体育祭を控え校内が沸き立つなか、1冊の本に秘められたドラマが動き出す。
未来はまだ見えなくても歩みを進める高校生たちと、それぞれの人生を歩んできた卒業生たち――海を見渡せる図書室を舞台に描く、感動の青春小説!
第71回「青少年読書感想文全国コンクール」課題図書『銀河の図書室』の原点の物語
解説/松井ゆかり
装画/カシワイ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
33
とても熱中できる本で寝がけに読んで寝落ちしなかったのは久しぶり。この数年未来の話と思われる『銀河の図書室』を先に読んでしまったことによる個人的な謎解き要素もあって十二分に楽しめた。読む順が逆になったのはそれも一興と思うが解説の松井さんと同じように『銀河』を再読し、そしてその後は「幸せな永久運動」に陥りそうだ。2025/08/19
mayu
31
体育祭で行われる"土曜のダンス"が伝統の高校が舞台。バレーボール一筋だった百瀬が友人の代わりに1週間図書委員をやる事になり、一冊の本に隠された謎を追っていく…。体育祭の準備とか部活とか委員会で初めて会う同級生とか、あぁ青春!!青春ものってあんまり読まないけど、ミステリー要素もしっかりあって読みやすい。自分の好みの本に導いてくれる検索機使ってみたいなぁ。作中に沢山本が出てくる所も魅力で、高校生に是非読んでほしい。高校生の自分の力で変化を起こしていくまっすぐなエネルギーと眩しさを感じた一冊。2025/08/21
るぴん
26
10年ぶりに返却された『飛ぶ教室』の謎と、体育祭の伝統行事「土ダン」に革命を起こす高校生達の物語。大多数の正義が全員の正義とは限らない。ダンスを踊りたいのに踊れない人を排除していいのか?怪我してる人は?車椅子の人は?皆が納得する答えを自分達で導き出す。学校図書に指定されるのも頷ける。とても考えさせられるお話だった。野亜高校オリジナルの蔵書検索システムを利用して、私向きの本を選んでもらいたい。2025/09/13
よっち
25
10年前に貸し出されたままだったケストナーの『飛ぶ教室』は、なぜ今野亜高校の図書室に戻ってきたのか。1冊の本に秘められたドラマが動き出す青春小説。体育祭を控え校内が沸き立つなか、怪我をして体育祭に参加出来なくなり、友達の図書委員の仕事を一週間代わることになった百瀬。そこで見つけた「飛ぶ教室」の謎を解明するために朔太郎と真相に挑む展開で、卒業生たちの果たされなかった思い、そして今の体育会で直面する問題があって、繋がった過去と今の因縁を乗り越えるためのアイデアを見出してゆく結末がなかなか印象的な物語でしたね。2025/08/08
Y.yamabuki
18
ミステリー ✕ 青春そして本、とても素敵な物語だった。サクサク読めるけれど、読み応えも十分。謎解が進む中、それぞれの生徒の問題が浮き彫りになり、体育祭の日に向かっていく。本の謎と土曜日のダンスがうまく絡めてあり、ラストでそれらもスッキリ。切ないところも有ったけれど、爽やかで優しい物語。そして幾つもの印象に残る言葉があった。ノアの方舟のたとえ、新しい伝統の話、立場の数だけ正義があり…等々。 2025/11/29




