極北の海獣

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極北の海獣

  • ISBN:9784309209241

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内容説明

18世紀ロシア、19世紀アラスカ、現代フィンランド……絶滅した海獣ステラーカイギュウを巡り3つの時代に生きた人々が、時空を超え繋がる。史実に基づいた息を呑む冒険譚。各国話題の書!

◆川端裕人さん推薦!!◆

絶滅した生きものをめぐって、もはや四散しつつある記憶を掬い上げる。
著者の丁寧な語りは、静謐にして緊密だ。
魅了された読者は、自分自身、その静かな残響の一部となっていることに気づくだろう。
ここに絶滅文学の精髄がある。

(内容紹介)
「滅びたものと相まみえてみたいと、だれもが一度は夢見たのではないだろうか」
18世紀のロシア極東カムチャツカ半島(第1部)、19世紀アラスカ南東部(第2部)、現代フィンランドの自然史博物館(第3部)……300年の時を超えて、今はなき巨大海棲哺乳類ステラーカイギュウをめぐる、史実をもとにした息を呑む冒険譚。
葛藤を抱えその再生に情熱を燃やす人々が、いま歴史を変えるーー。

フィンランドですぐれた新人作家の作品に贈られるヘルシンギン・サノマット文学賞受賞&28言語で刊行のベストセラー。
消滅した世界を悼み、文学が弔う壮大な物語。

日本語版装画:ミロコマチコ
装幀:大倉真一郎


【目次】

第1部 栄光か、破滅かーー1741~〈ロシア極東・カムチャツカ半島〉
第2部 征服ーー1859~〈アラスカ南東部〉
第3部 命あるものたちーー1861、1950、2023〈フィンランド・ヘルシンキ〉


【訳者あとがきより】

登場人物それぞれが、時代によって課された制約の中で、
もがき、苦しみ、苛立ち、また喜びに震える、
その心のありようがいきいきと描き出される。

そして、互いに出会うことはない人々の思いが、
ステラーカイギュウを介して時空を超えて交差するとき、
読む者の胸に深く響く物語が立ち現れる。

(略)どれほど資料を集めても埋めきれないもの、
それは実際にその時代を生きた人々の心の襞であり、
そこを想像の力で補って骨太な作品世界を構築した著者の、
作家としての手腕は確かなものだ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

geshi

19
絶滅したステラーカイギュウを軸に描かれる人々の物語を通じて、人間の営みが生き生きと伝わる。18世紀の船乗りたちがステラーカイギュウの肉に歯を立てる描写のなんと美味しそうなことかと思いつつ、その後の絶滅の後ろめたさが心に影を落とす。19世紀のアラスカ総統の妻と妹が女性的役割に閉じ込められている姿は行き場のない苦しさ。20世紀の女性画家がそれを一部でも破ってくれる爽快感。滅びたものへの惜別はそこまで強くなく、静かに諭すように今の我々へ「同じ轍の踏むのか」と向けられている。2025/07/20

Nao Funasoko

16
ドードー然り、ニホンオオカミ然り、そしてこのステラーカイギュウ然り。近代においての絶滅種の物語はフィクション、ノンフィクション問わず、つい手にとってしまいたくなる。本書は19世紀から現在に至る3世紀にわたる骨太な物語。失われた生物を通じて、その時々の登場人物の生き様が鮮明に浮き上がってくる。読み進む途中で星野之宣「罪の島」(『滅びし獣たちの海』収録)を読み返してしまった。 それにしても全くもって偶然のことながら、昨日人生初めてのモルックを体験。なんだかフィンランドづいてるな。(笑)2025/07/21

ぽけっとももんが

13
「絶滅」という概念がなかった時代、人はステラーカイギュウを、オオウミガラスを、リョコウバトを獲り尽くした。いなくなっちゃうなんて知らなかったんだもんなぁ。そりゃ極北の地で、大きくて美味しい、しかも逃げない動物がいれば捕まえるよ。ただ我々はもう知っている。絶滅しそうな種もわかっている。「絶滅できない動物たち」のジレンマもあわせて考えなくてはいけない。小説の体裁をとっているけれども会話の鉤括弧もなく、詩的に綴られるステラーカイギュウの運命。2025/07/26

スプリント

11
絶滅した巨大な海獣ステラーカイギュウを巡る物語2025/06/15

あきら

9
1741年にベーリング島で発見され、1768年に絶滅したジュゴン目のステラーカイギュウ。このとき同じく発見されたメガネウも結果的に人類に絶滅させられた。 しかし、ヘルシンキ、キーウ、モスクワでは実物はとてもじゃないけれど縁がなさそう。 物語は発見時から絶滅して標本として博物館に飾られるまでを三部に分けて。その過程で鳥の島を守る青年たちの物語も。2025/07/04

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