中公新書<br> クーデター―

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中公新書
クーデター―

  • 著者名:上杉勇司【著】
  • 価格 ¥1,155(本体¥1,050)
  • 中央公論新社(2025/07発売)
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  • ISBN:9784121028648

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内容説明

クーデターとは非合法的な政権奪取である。
国際秩序の変動期に「避けられない悪」として頻発するが、昨今またその兆候が著しい。
本書は昭和の動乱期から21世紀のグローバルサウスまで、未遂や失敗例も含め幅広く検証。行動原理や成功要因を解明し、民主主義vs.権威主義vs.イスラム主義、SNSの影響、資源争奪、ワグネルの暗躍など現代の特徴に切り込む。
当事国の民政移管や治安部門改革への支援など、日本の役割も問う。
はじめに
第1章 クーデターとは何か――一撃による非合法の権力奪取
革命との違い/内戦との違い/暴動との違い/テロとの違い/世直しクーデター/第二次世界大戦前――歴史を動かしたクーデター/第二次世界大戦後――クーデター多発の時代/米ソ冷戦後――民主化の遠い道のり/第1章のまとめ

第2章 発生要因と成功条件――成功の見込みと軍の決意
現政権への不満/一般民衆からの支持/権力奪取の見込み/成功条件/軍全体が関与する場合/軍の一派が主導する場合/決起を成功させるための手配/ロシア――鍵を握る諜報機関/北朝鮮――軍の分割統治と二元指揮制度/中国――ポスト習近平をめぐる権力闘争/第2章のまとめ

第3章 21世紀の権力奪取――五つの特徴
民主化運動の軍による横取り/新しいイデオロギー対立の萌芽/携帯電話とSNSの発達/新たな資源争奪戦/民間軍事会社の暗躍/第3章のまとめ

第4章 クーデター抑止策――多角的アプローチの必要性
エリートへ利益を分配する/民衆の不満を抑制する/民主的な政権交代を実現する/政権交代を制度化する/紳士協定を法制化する/軍を分割統治し相互に牽制させる/文民統制を確立する/人事を通じて軍を掌握する/外国軍・平和維持軍の存在を活かす/国際承認と制裁を活用する/新しい抑止策/第4章のまとめ

第5章 決起後の課題――暫定政権の樹立から民政移管へ
秩序回復時の権力の濫用/暫定政権の危うさ/民政移管の失敗例/民政移管の成功例/タイ政治における軍の役割/政軍関係の諸理論/軍に対する文民統制/インドネシアにおける文民統制/フィリピンにおける文民統制/ミャンマーにおける文民統制/民主化における軍の役割/東アジアの事例――韓国と台湾/東南アジアの事例――インドネシアとフィリピン/第5章のまとめ

第6章 治安部門改革――クーデター抑止のメカニズム
治安部門改革の成功例と失敗例/主要な取り組み/クーデター抑止策との関連性/軍の分割統治と相互牽制/法制度整備による文民統制の確立/軍の非政治化/人事権の行使/台湾における文民統制確立の歩み/改革の限界と課題/第6章のまとめ

第7章 2・26事件――歴史から学ぶ教訓
2・26事件とは何か――世界最大規模のクーデター未遂/決起の背景――なぜ事件は起きたのか/決起成功の見込み/敗因①――昭和天皇の決意/敗因②――木戸幸一の輔弼/敗因③――要人拘束の失敗/敗因④――帷幄上奏の失敗/敗因⑤――天皇型政治文化の存在/敗因⑥――政治工作の失敗/敗因⑦――報道・情報操作の失敗/カウンター・クーデターの動き/人事を通じた抑止策/戒厳令の二面性――クーデター抑止か誘発か/現代における戒厳令と緊急事態宣言/21世紀の戒厳令――韓国「12・3」非常戒厳との比較/日本への教訓/第7章のまとめ

第8章 日本外交の支援策――クーデターをなくすために
治安部門改革支援の実績/民主化支援の実績/東アジア人的交流と育成の重要性/東南アジア――軍事交流と民主化支援の強化/アフリカ――技術支援に留まる現状/インド太平洋――クーデター抑止も価値観外交の一つ/グローバルサウス――気がかりなBRICSの動向/第8章のまとめ

終 章 ク ーデターの可能性と限界――民主化への道か混乱か
クーデターのパラドックス(二面性)/世直しクーデター/アフリカのジレンマ――断ち切られぬクーデターの連鎖/日本への示唆現代の私たちへの教訓

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

139
クーデターは革命や内戦と同一視されてきたが、全くの別物であるのを明確に定義する。現政権内部の不満分子が権力奪取を狙って非合法に起こすのがクーデターであり、支配階層における権力闘争といえる。支配のための暴力装置である軍の決起が多く、無血での成功もある理由だ。国民の合法的な権力参加や文民統制がないがしろにされ、政府や指導者の政策失敗や支援者に利権を配分できない国で起こる好例が226事件だった。結局、一部による金と権力の独占支配解消こそクーデターをなくす最善策だが、人間の欲望がそれを拒む現実は何ともやるせない。2025/08/24

skunk_c

83
クーデターについて、その定義から要因、手段、成功要因、防止策などについて、コンパクト克つ網羅的に論じたもの。特に第2次世界大戦後の各国のクーデターを実例にし、分析していて具体性が高く、さらに各章にまとめがあるためその考え方が上手く整理されているため、大変分かりやすい。日本に関しては戦後失敗例(三島由紀夫)しかないため、昭和最大のクーデターである二・二六事件を題材に論じており、タイのクーデターと異なり天皇の激怒を招いたのが失敗要因とされる。クーデターによる政権転換は本質的に不安定であることを知れたのが収穫。2025/09/15

HANA

65
滅茶苦茶面白い。クーデターの定義から始まり発生要因とその成功、いかに防止するかや決起後の流れまでが自分のような初学者にもわかりやすく書かれていて、これを読むだけでクーデターとは何かというのがわかるようになっている。従来クーデター=悪みたいなイメージだが、成功例を見るとそんな単純な二元化されるものではないのが良くわかるなあ。特に興味深いのは失敗例として取り上げられた2・26の部分。決起後の流れと失敗要因が詳しく取り上げられているが、これを見ると数多の失敗があり成功確率は極めて低いなあ。まさに基本図書でした。2025/10/29

よっち

32
非合法的な政権奪取である「クーデター」。未遂や失敗例も含め幅広く検証して、行動原理や成功要因を解明する1冊。国際秩序の変動期に「避けられない悪」として頻発するが、昨今またその兆候が著しいクーデターとは何か。革命や内戦、暴動、テロとの違い、歴史を動かした戦前と多発する戦後、発生する要因と成功条件から何が成否を分けるのか、21世紀に入ってからの5つの特徴、抑止へ向けた多角的アプローチの必要性、決起後の課題に加えて、日本で起きた2.26事件、日本外交の支援の取組みも紹介されていましたが簡単ではなさそうですね…。2025/08/13

そうたそ

17
★★★☆☆ クーデターというと、現代日本ではあまり馴染みがない。直近では三島由紀夫の自衛隊駐屯地の占拠。だが、これを覚えている人は相当の高齢だろう。一方、アフリカや中東では今でもクーデターが起こり続けているし、お隣韓国でも大統領による非常戒厳令の発令が記憶に新しい。そんなクーデターのメカニズムを丁寧に解説してくれる本書だが、主観を排した体系的な説明になっており、非常に分かりやすい。クーデターは一見効果的なようで、成否がどうであれ、長期的に見ると成功は期待できない。とはいえ、今後も起こり続けるのだろう。2025/10/23

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