内容説明
昭和二年生まれは、少年時代を戦争の中で過ごし、青年時代の入口で敗戦を迎えた――。昭和三十年代にデビュー、ともに自分の道を見つけ書き続けてきた城山三郎と吉村昭。気心の知れた二人が、戦争観から酒飲みの流儀まで心おきなく語り合う全対話四篇と、関連作品を一冊に収める。
【目次】
昭和二年生れの眼差し 吉村昭
Ⅰ
あの戦争とこの半世紀の日本人 対談:城山三郎×吉村昭
語りつぐべきもの 対談:城山三郎×吉村昭
ぼくの流儀・きみの流儀 対談:城山三郎×吉村昭
私たちが生きた時代 座談:城山三郎×吉村昭×佐野洋
Ⅱ
名門・背広・軍服 城山三郎
昭和・戦争・人間 吉村昭
昭和二年生まれの戦友へ 城山三郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
109
昭和二年生れの作家はお二人以外にも北杜夫/藤沢周平/結城昌治の各氏。自ら志願して海軍の特別幹部候補生になった城山さんと、結核で徴兵されず東京空襲を体験した吉村さんの戦争体験は異なるが、多感な18歳で終戦を迎え「その日を境にカメレオンが体色を変えるように人々が変節したこと」に衝撃を受けたことが、お二人の共通の価値観を形成している。「読書してない政治家は信用できないな」と言う吉村さんにも共感。70歳を過ぎた時の対談で、同じ話が何度も登場する老人特有の冗長さはあるが、戦中戦後を生きたお二人の思いが伝わってくる。2025/09/04
ぴー
78
本書は城山氏と吉村氏が、おもに戦争をテーマに対談した内容を記録したものである。ページ数もあまり多くなく、テンポよく読める本だが、2人の対談の内容は決して軽くない。特に城山氏の「戦争体験の記録は残したい」という強い思いが印象に残った。また、吉村氏が空襲で亡くなった遺体を見た際に、「死に無関心になっていた」、「一つの風景」という言葉に深い衝撃を受けた。若い時期に戦争を経験した両者の対談は、戦争を全く経験していない僕たちにとって貴重な対談だと思った。今を生きる自分たちが読むべき一冊なのかもしれませんね。2025/12/24
tamami
51
奇遇な出会いの中には面白いものがある。しばらく前に読んだ、城山三郎『そうか、もう君はいないのか』を読み終えた後書店に行くと、本書がハードカバーの新刊として並べられていた。同年代に生まれ、戦前戦後を生き、20年ほど前に亡くなられた、二人の小説家が社会世相、心身の病気、文壇裏話といったネタを中心に、縦横無尽に語り合っている。その一つに、戦前は死病といわれた結核について繰り返し語られる中で、今となっては考えられないような過酷な治療法も紹介されていて、今昔の感に打たれる。祖父母の生きた時代を教えられる貴重な語り。2025/10/31
mondo
38
先の大戦から八十年を迎えたこの時期に出版された本書。飛び付くようにして入手し、読み終えた。私はこのお二人の大ファンである。お互い昭和二年生まれの作家で、同様の戦争感を持ち、それを吐き出すようにして、様々な小説を世に送り出してきた。幾度か行われた対談をもとにした本書では、同年代に共通した生い立ちから2人は心情を吐露する。互いにそこから培った流儀を語り合う。読んでいて、これほど楽しいことはなく、ファンは唸るしかない。本書の意義は、互いの目線から戦争の本質や、人間の弱さが炙り出されているところではないかと思う。2025/08/19
takao
2
ふむ2025/11/16




