内容説明
時は明治、岡山の北の果て。
乞食行脚の果てに、七歳の少女シヲは、
村一番の分限者である竹井家に流れ着く。
養女となり過去を捨て、絶世の美女へと育ったシヲは、
自らの子孫の凄絶な人生を見守り続けることになるが――。
美女と醜女が交互に生まれる、呪われた家系に生きる七代の女たち。
明治から令和まで連綿と受け継がれる因果は、
彼女たちを地獄の運命へと絡めとっていく。
憑きまとう死霊の影、貧困と美醜、愛欲と怨念。
時代は巡れど、この因果からは逃れられない――
『ぼっけえ、きょうてえ』の著者が圧倒的筆致で描き上げる、暗黒無惨年代記。
【角川ホラー文庫版刊行記念】
限定書き下ろし
「第十三章 シヲ百三十六歳」収録
世は令和。因果は、終わらない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ettyan えっちゃん
8
読みたっかったけど、長らく品切れが続いていた本作、ようやくの再販だけでなく、追加された章まであるというサービス。しかも読み始めたら、何という面白さ!因果がねっとりと絡みつき、とんでもない土俗ホラーに仕上がっているんだけど…もうこれマジックリアリズムの流れかと。ここまで呪いが続くともうおかしな気持ちになってくる。百年の孤独などのマジックリアリズムの日本の土着バージョンとして最高傑作。さて、あとがきの朝宮運河さんのおすすめ「不村家奇譚」を読みたい。これまた楽しみな本が増えた2025/08/24
明石
3
読了。 美女と醜女が交互に生まれる奇妙な因果を背負った一族の物語。 独特の雰囲気があって、彼女達の人生の断片を観賞している気分になった。 小説としては明治から令和までの話だけども、これから先もこの因果は続いていくんだろうとそんな気になった。2025/08/26
どんぐり
2
一気読みした。とある一族の因果の物語。まさに「ぢごく」。怖いというかなんとも言えない感覚の余韻。良いものを読んだという感覚なのは確か。岩井さんの作品を他にも読みたくなった2025/09/14
Ryo0809
2
快楽のためにだけ男を求め、男の身勝手を地獄の果てまで突き落とす女の業。明治から平成まで百年を超える時間軸のなか、移ろいゆく世相を反映した女の姿を容赦のない筆致で描く。死霊の声を聞き、痕跡を視覚できる女系家族。怪奇的で幻想的な世界とは真逆な、レアリズム。それは、ダンテの神曲や仏教の六道輪廻を越えくる現実の世界に他ならない。どす黒さをえぐり取る格調ある文章も見事。2025/08/30
検尿泥棒
2
岩井志麻子6冊目。たまたま本屋にあったので久しぶりに作者の本を読んでみるかと思ってよんだ。読みながらこういう感じの文章だったなと思い出して、生まれてくる子供に受け継がれる不幸になる呪いは永遠に終わらないのかなと暗い気持ちになった。2025/08/10
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