内容説明
伊澄凛子、十七歳。職業は――新人傭兵。
バイト感覚で民間軍事会社に応募した私はベテラン傭兵の水崎渚さんと共に異国の紛争地帯に放り込まれた。
土地勘もなく言葉も文化も異なる地で、銃の撃ち方や携帯糧食の開け方、他人との距離の取り方まで、私は全てを水崎さんに教わり“この場所で生きる”ことを学んでいく――。
私たちは戦争の本筋に関わらないし、歴史を変える使命だってない。
戦場の片隅で与えられた任務をこなし、食事を分け合い、オフの日には渋谷でパフェを食べながら、ただただ今日を生き延びていく。
これは世界のどこかにあるかもしれない日常の一幕。
血縁ではないけれど互いを信じ合う私たちの――姉妹生活小説。【電子限定!書き下ろし特典つき】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
23
バイト感覚で民間軍事会社に応募した伊澄凛子が、ベテラン傭兵の水崎渚と共にいきなり異国の紛争地帯に放り込まれる姉妹生活小説。土地勘もなく言葉も文化も異なる地で、銃の撃ち方や携帯糧食の開け方、他人との距離の取り方まで、全てを水崎に教わりながら生き延びることを学んでいく凛子。戦場の片隅で与えられた任務をこなし食事を分け合い、オフの日には渋谷でパフェを食べたりもするギャップのある2人の日常を描きながら、最悪の事態を想定して動く水崎の教えを実践して、思わぬ事態も切り抜けてみせた2人の確かな絆がなかなか良かったです。2025/07/25
わたー
17
★★★★★なるほどなあ…確かにこれは100点としか書けないわ。バイト感覚で民間軍事会社の面接を受けて新人傭兵となった主人公が、教育係の女性とともにとある国の前線で傭兵として生活していく姿を描く物語。民間軍事会社という単語や、日本人でも傭兵として紛争地域に行く人がいるという知識はあっても、紛争地域でじゃあ何をやっているのか、現代戦における仕事としての傭兵に関する知識はなかったので興味深く読ませてもらった。そんな、読者からかけ離れている非日常に於ける日常を著者らしい筆致でするりと読ませてくれていて良かった。2025/08/18
冬野
7
作者さん二作目。何でも器用にこなす凛子が、先輩の渚に傭兵としての心得を教わりながら戦場に身を投じていく話。これってラノベなの?と思うほどに硬派な内容だった。てっきり戦場と戦場の合間の日常にフォーカスした作品なのかと思いきや、作中では戦場こそが日常であり、ほぼ全編紛争地帯が舞台となっている。戦闘に臨む心情が真に迫っている。当然命のやり取りも描かれていてシビアな描写もあるのに、どこか軽やかな読み味なのが不思議。ライバルをその立ち位置に持ってくるか、と舌を巻いた。なかなかよいシスターフッド小説。星:4.5/52025/10/24
椎名
7
うん、100点。この物語においてまず感想を出すときにこれを言わないのは嘘だろう、と思うので流石にそう書くしかない。作者の狙い通り綺麗に一冊で完結している、まとまりの良いものとなっているが、内容としてはいくらでも続きを出せるものでもあると思うのでこの先の二人も見てみたいという気持ちがある。姉妹になってから、が見れるのはこの先があればこそだし。設定は暗いが感触としては軽く、気楽に読めるのが不思議だ。これも主人公のある種の図々しさがそうさせるのかもしれない。2025/08/16
ABCorange
7
装丁買い。刊行から間もないから、一番乗りかと少し期待したけど違った。MTし損ねて帰宅し深夜に読んだ。語り口が少し独特だけど読みやすく、サクサクページが進む。主人公の過去が気になるけど、続きはなさそうな感じか。ジャンルはどこに入るのだろう。ちょっとだけ叙述トリックぽいところもあるけど、メインはそこじゃなくやっぱり姉妹百合?土に汚れた果物を、洗って食べたら甘くて美味しい桃だった、みたいな。まあ面白かった。主人公の伸び代ハンパない感はある。2025/08/01
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