内容説明
「女の子を起こそうとなさらないで下さいませよ。どんなに起こそうとなさっても、決して目をさましませんから……」老いを感じ始めた六十七歳の江口が通された部屋には、深紅のビロードのカーテンがかかり、布団の中では、若く美しい娘が裸のまま眠っていた。江口が娘に触れ、布団に入ろうとすると――。「片腕」「散りぬるを」を併録。(解説・浅田次郎)※三島由紀夫による解説は収録しておりません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Die-Go
42
「眠れる美女」「片腕」「散りぬるを」の三編。なんとも奇妙な小説群である。「眠れる美女」は処女を感じさせながらも、エロティックさを兼ね備える。川端康成の小説はそこで終わりでいいの??と思わせるところも味か。★★★★☆2025/01/02
万葉語り
39
片腕、散りぬるを、表題作の3作品。川端康成観が変わってしまいそうな作品群だった。人間の業というか、歪んだ女性観というか、三島由紀夫の解説によると官能の閉塞状態は、人智の限りと云ってよいほど推し進められているということになるらしいが、正直ちょっと引く。でも、ほかの作品も読んでみたくなる中毒性もある。晩年の作品ということだが、初期の方が好きだなあと思った。2025-32025/01/04
マツユキ
19
なんとなく、茨木ゆかりの作家作品を続けて読んでいます。読み始めてすぐこの変態!って思ってしまいましたが、若い女性の、その一時だけの美しさは確かにあると思います。幻想的なんだけど、それも現実の醜さがあってこそ。収録された3作品の主人公を作者に当てはめてみたんですが、実際はどんな人だったのか気になってきました。2025/06/18
渡辺(読書/散歩)
12
川端康成の短編集。表題作は「世にも奇妙な物語」のような不思議な話だった。眠っている美女の生々しい描写と、そこから想起されるこれまで関係のあった女性たちとのあれやこれや。「人間のおぼえや思い出はそのことの古い新しいでほんとうの遠い近いはきめられぬかもしれないだろう。昨日のことよりも六十年前の幼い日のことを、あざやかに、なまなましく、おぼえていて思い出すことはあるだろう。老いては殊にそうではないのか。また幼い日のことの方がその人の性格をつくり、一生をみちびく場合があるのではないか」(25-26)2025/03/02
みかん。
7
初川端康成。名作で驚きました。表題作は映画化されていますね。日本文学等の厚みはかなり凄いと感じました。2025/02/15
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