内容説明
旧制高校生の「私」は、一人で伊豆を旅していた。途中、旅芸人の一行を見かけ、美しい踊子から目が離せなくなる。大きな瞳を輝かせ、花のように笑う踊子。彼女と親しくなりたい。だが、「私」は声をかけられない……。そんなとき、偶然にも芸人たちから話しかけられ、「私」と踊子との忘れられない旅が始まった――。若き日の屈託と瑞瑞しい恋を描いた表題作。ほかに「温泉宿」「抒情歌」「禽獣」を収録。(解説・竹西寛子、重松清)※三島由紀夫による解説は収録しておりません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ykmmr (^_^)
143
誰もが知る、川端の代表作。川端の自伝的と言える主人公の生い立ち。肉親を幼い頃に沢山亡くし、それにより人に対して、「人」に対する気持ちが育たず、それに苦悩している。そして、心の『静養』を求めて、旅した伊豆。そこで『運命』があった。他作品の『舞姫』にも通じるである、1人の踊り子との出会い。ひたむきで儚い彼女に魅了され、同行の『旅芸人』の一座にも心から絆されている。そこで生まれた彼の『純粋』な気持ちは、生きる事・小説家としての『原動力』となり、小説の最後に彼は涙を流す訳だが、2022/12/27
みねね
45
来週末の伊豆旅行の予習(?)として。伊豆の踊り子だけ読んで一旦終わろうと思っていたが、気づいたら次の話に進んでいた。うーん没入感。リアリズムっぽいかと思えば怒涛の涙。序盤に伏線並みに少しだけ描かれた鬱屈は、涙で綺麗に浄化される。『抒情歌』はなんだかドストエフスキーの『おかしな人間の夢』っぽいところがあったな。/解説が3つもあって、それも三島に重松と豪華すぎる。2025/03/21
tonpie
32
「伊豆の踊子」初読み。この作品についてのみ。年譜を読むと、川端は大正7年、19歳で初めて伊豆に旅行し、旅芸人一行と道連れになるとあり、「伊豆の踊子」掲載は大正15年。8年も寝かせて書いている。一高の制帽、絣の着物に袴履いて徒歩で旅行中、旅芸人の家族の中に美しい少女をみつけ、同行する。「十七歳くらいに見えた」しかし、実際はもっと幼かったと。『この美しく光る黒目がちの大きい目は踊り子の一番美しい持ちものだった。(略)それから彼女は花のように笑うのだった。花のように笑うという言葉が彼女にはほんとうだった』。↓2023/01/25
わむう
32
三島由紀夫の解釈と重松清の解説つき。なんと豪華なんでしょう。2022/11/19
tonpie
31
「伊豆の踊子」に続き、この本に入っている以下の3編を読了。 ●「温泉宿」アクロバティックなカット割りで、読んでいて目が回る。晩夏から冬にかけて温泉宿の酌婦たちの悲しいポートレート。ピカソ「アヴィニョンの娘たち」を連想させる。以下引用 (十六七の頃から、こんな山深く流れて来て、すぐに体をこわしたお清は、この村を死に場所と思い込むようになった。死のことを考えている小娘を、男達は青白い影を抱くように取り扱った。にもかかわらず、彼女は度々毀れた。そして暇さえあれば村の幼児と遊んでいた。)↓2023/01/26
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