ちくま文庫<br> 目的をもたない意志 増補版 ――山川方夫エッセイ・コレクション

個数:1
紙書籍版価格
¥1,100
  • 電子書籍
  • Reader

ちくま文庫
目的をもたない意志 増補版 ――山川方夫エッセイ・コレクション

  • ISBN:9784480440204

ファイル: /

内容説明

「『文学』は私にとり、まず私の存在のしかたであり、態度なのだ」。大江健三郎、サルトル、石原慎太郎、若尾文子、日劇、『去年マリエンバートで』、『キングコング対ゴジラ』……文学はもちろん映画や自由、恋愛まで作家がクールな文体で語るエッセイ集。新たな7篇のほか、妻・山川みどりによる作家との出会いや夫婦の生活をめぐるエッセイ4篇を増補した決定版。

目次

第1章 灰皿になれないということ/灰皿になれないということ/“自由”のイメージ/永井龍男氏の「一個」──〈作家論への試み〉/サルトルとの出逢い/早春の記憶──グレアム・グリーンをめぐって/大江健三郎『われらの時代』/高橋和巳『悲の器』/村松剛『文学と詩精神』/獅子文六『町ッ子』/可笑しい奴──西島大君のこと/江藤淳氏について/中原弓彦氏について/『遠来の客たち』の頃──曾野綾子氏について/石原慎太郎氏について/第2章 わが町・東京/わが町・東京/神話/「日々の死」の銀座/正常という名の一つの狂気──「りゅうれんじん」〈仮題〉の原作者として/恋愛について/日劇──都会化のシンボル/麻美子と恵子と桐子の青春/海を見る/山を見る──ある心象風景として/「ザ・タリスマン」白書/半年の後……/わがままな由来──ペンネーム誕生記/あの頃/一通行者の感慨/私の良妻論/第3章 目的をもたない意志──映画をめぐる断章/増村保造氏の個性とエロティシスム──主に『妻は告白する』をめぐって/映画批評家への公開状/目的をもたない意志──マルグリット・デュラスの個性/『情事』の観念性/中途半端な絶望──アントニオーニの新作をめぐって/『二十歳の恋』/『去年マリエンバートで』への一つの疑問/『かくも長き不在』/『シルヴィ』の幻/『肉体市場』/『恋や恋なすな恋』/『オルフェの遺言』/『キングコング対ゴジラ』/付録 『山川方夫全集』月報より──山川みどり/なにもかも忽然と/最初で最後の夏/ようこそ、はるばる二宮へ/三十三年目の二宮/編者解説 批評家・エッセイストとしての山川方夫──高崎俊夫/ちくま文庫版のための編者あとがき──高崎俊夫/初出一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

阿部義彦

19
ちくま文庫4月の新刊。三田文学の編集長で交通事故により、結婚後一年くらいで夭折した文学者。前もって集英社文庫で諸玉の短編を読み興味を持ちました。後半の映画論は私は詳しくないので流しましたが、前半の文学論や交遊関係に関しては、大変面白かったです、石原慎太郎、大江健三郎に関する感想や、何よりも驚いたのは中原弓彦(小林信彦)と良く会って書くものを評価していた事です。巻末の奥様による思い出も良かった。他にも読みたいと思ったら、ちくま文庫で日下三蔵編で2冊ショートショート集が出てるので、それも買おう!筑摩偉い💮2025/04/29

Go Extreme

3
死に全てが収斂 死ぬ決意の快適な解決 軍国主義教育の影響 純粋さを求める性向 現実遊離の観念的な傾向 一人きりの自分は実在せず 感傷的な空想や幻影 休息の中の一時的な停止 厳しく拒まれ突き放される現実 ないものを想う抒情 素朴に人間を歌いながら生きたい まるで宙に浮いたような印象 浮いている日本の若い才能 ヒステリーしか見出せない情事 奇妙に焦燥たけしくるしい東京 文明を夢見る地方の女性 堕落に満ちた巨大な悪夢 皮相で歯切れのいい稀有な才能 実存の粘液的な感触への魅入られ 人間を徹底的に個の物体として描く2025/05/16

ししょ

1
エヴァやグリッドマンを見た山川方夫と夜通し語り合いたい!!という思いを『キングコング対ゴジラ』を読んで一層強くし、彼はきっと私が面白いと思うものの面白さを、あまりにも明確に言語化してくれるのだろうと、夢想せずにはいられないのだった。ところで、巧みな映画批評というのは批判的であればあるほど古びても面白く読めるのかもしれない。絶賛されているフイルムが当時のように見られないのはフラストレーションが溜るし、作り手の創作に対する姿勢は批判の中でより一層輝くからである。2025/05/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/22546312
  • ご注意事項

最近チェックした商品