ちくま学芸文庫<br> 崩壊概論

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ちくま学芸文庫
崩壊概論

  • ISBN:9784480512970

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内容説明

透徹した懐疑が矛盾の総体たる世界を熾烈なまでに問いただす。信念は解体され、拠って立つ基盤は崩壊する――。幻影の破棄と新たな幻影を希求した本書は、シオランが母語であるルーマニア語ではなくフランス語で初めて著した作品。未来に倦み、同時に言いようのない渇きに襲われながら、思想家は敗滅へと向かう人間の宿命を凝視する。繊細と皮肉、陶酔と幻滅、憤怒と倦怠、明視と錯乱……。不眠の夜々に咲いた断章群、それは、まぎれもなく現代の黙示録としてわれわれの精神に浸潤し、揺さぶりをかけるだろう。解説 大谷崇

目次

日本語版への序/崩壊概論/狂信の系譜/反‐預言者/もろもろの定義の墓場で/文明と浮薄さ/神の中に消え入る/死を主題とする変奏曲/時間の欄外で/時間の関節はずれ/素晴しき無用性/堕落の註解/死への反対同盟/形容詞の制覇/安心した悪魔/円周上の散策/人生の日曜日/手をひく/間接的な動物/われわれの忍耐の鍵/解放による消滅/抽象的な毒/不幸の意識/間投詞的思考/曖昧なものの崇拝/孤独──心の離反/黄昏の思想家/自己破壊の手段/反動的な天使/礼節への配慮/空虚の音階/ある日の朝に/忙しい服喪/諦めへの免疫/この世の釣合い/哲学への訣別/聖者から犬儒派へ/元素への回帰/逃げみち/夜への無抵抗/時間に背を向けて/自由の二つの顔/夢による過労/裏切者の亀鑑/地球の屋根裏部屋のひとつで/漠然たる嫌悪感/無意識の教義/二元性/背教者/未来の亡霊/固定観念から咲き出る花/《天上界の犬》/天才の二面性/不幸の偶像崇拝/悪魔/《新しい生活》の滑稽さ/三重の袋小路/欲望の宇宙創成論/行為の解釈/めあてのない生活/不きげん/勇気と恐怖の害毒/覚醒/憎悪の道すじ/《救いなき人々》/歴史と言葉/哲学と売春/本質的なものの強迫観念/亜流の幸福/極度の大胆さ/落伍者の肖像/悲劇の条件/内在的な /意識の到来/祈りの尊大さ/憂鬱病/まひるの呪詛/堕落の擁護/流行おくれの宇宙/虫に喰われてぼろぼろになった男/発作的な思想家/発作的な思想家/虚弱の利点/詩人たちの寄生虫/異邦人の悩み/征服者の倦怠/音楽と懐疑論/自動人形/憂愁について/優越欲/貧乏人の位置/頽廃のさまざまな顔/聖性と「絶対」のしかめ面/生殖の拒否/唯美的聖者伝作者/聖女たちの弟子/叡知と聖性/女と「絶対」/スペイン/永遠性のヒステリー/自負心の諸段階/天国と衛生法/ある種の孤独について/動揺/聖性の脅威/傾いた十字架/神学/形而上的動物/悲哀の生成/修道院の中でのおしゃべり/不服従の練習/知の舞台装置/放棄/縄/固定観念の裏面/墓碑銘/涙の世俗化/意志の変動/善意の理論/ものの持ち分/悪徳の驚異/堕落への誘惑者/洞窟の建築家/弛緩症の訓練/極度の使いべり/欲望の葬式場にて/否定できぬ失望/モラリストの秘密の中で/修道者の幻想/狂気に敬意を表して/わが英雄たち/頭の単純な人々/精神の刺戟剤としての貧苦/不眠への祈願/悪人の横顔/寛容の考察/衣裳哲学/疥癬病みの中で/思想の請負人について/気質の真理/皮を がれた男/自己に逆って/信仰の復活/われら穴居人/挫折の表情/下 人間の行列/Quousque eadem?(いつまで同じことを?)/訳者あとがき/解説(大谷崇)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

かふ

21
懐疑主義のなれの果てなのか。生まれてすみません、よりは生まれて糞垂れというように生を罵倒してみせる。それは、解説によるとブラックユーモアであり、逆説的生き方ではあるのだが。シオランがルーマニア生まれながらフランス語で書かなければならなかった。その二重言語はスペイン革命の失敗を生きたオーウェルなのか?シオラン的絶望に取り囲まれても死ぬに死ねない人は書かずにいられない人なのだ。その崩壊の隙間で死にきれず生きている人なのか?2025/08/15

∃.狂茶党

16
文庫になったので、初めてのシオラン。 ヨーロッパの歴史とキリスト教への理解が必要だし、神を持っていなければ、衝撃のほどは理解できない気がする。 できれば若い頃に読みたかったが、こうしてお手軽に読まれるようになることは、世間に毒を撒くことで、それは毒にも薬にもならないものをばら撒くよりも、喜ばしいことである。 この毒薬は苦いので、アホな人はあまり読まないと思われる。 2025/04/30

Ex libris 毒餃子

10
何を言ってるのか全然わからないけど、何らかの説得力を感じる本。2025/11/23

momonori

9
シオランによるフランス語著作のデビュー作。本書で繰り返し語られることは、仏教でいえば「成住壊空」といったところか。文化が成熟しきった民族は滅びを迎える。よって、そういった民族にとって目指すべき人間像とは、頽廃しきったものとなる。シオランはその人間像としていくつかの堕落しきった人間の例を挙げる。そのうちのひとつが「才能のない詩人」である。文化の成熟を迎えた人間は、徹底的に劣等人間になるべきであり、その究極は自ら命を絶つことだという。文化の爛熟期に時代を先取りして劣等たることこそ、神の意志だとするのである。2025/06/24

無能なガラス屋

4
「一個の魂が偉大になるのも破滅するのも、ただそれがわが身に引き受ける耐え難いものの量によるのである。」2025/09/23

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