七三一部隊の日中戦争 - 敵も味方も苦しめた細菌戦

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七三一部隊の日中戦争 - 敵も味方も苦しめた細菌戦

  • 著者名:広中一成
  • 価格 ¥999(本体¥909)
  • PHP研究所(2025/07発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569859491

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内容説明

七三一部隊にとどまらない細菌戦の実態 日中戦争のさなか、人体実験や細菌兵器の開発と製造に携わったとされる関東軍防疫給水部、通称七三一部隊。組織の中心にいたのは、部隊長・石井四郎を筆頭とした、日本を代表するエリートたちだった。また細菌戦は満洲の七三一部隊だけではなく、他の四つの部隊でも実行された。日中戦争史の専門家が、陸軍参謀本部の視点や作戦史も踏まえながら、細菌戦の知られざる実態に迫る。なぜエリートたちが細菌戦にのめり込んだのか? 【本書の要点】●細菌兵器はもともと対ソ戦で使うはずだった ●七三一部隊は石井四郎を中心とした京都帝大医学部閥 ●葛藤しながらも細菌兵器の製造に加担した軍医たち ●新発見! 「藤原ノート」が示す重要な事実 ●ペスト菌に感染させたノミを投下するPX攻撃 ●中国軍も細菌戦を実行していた? ●日本本土で細菌兵器が使用されたかもしれない 【目次】●序章:七三一部隊と細菌戦の研究史 ●第1章:細菌戦部隊の実像 ●第2章:細菌戦の始まり 一九四〇年浙江省寧波・衢州・金華の細菌戦 ●第3章:日中戦争最前線での細菌戦 一九四一年常徳細菌戦 ●第4章:「後期日中戦争」と細菌戦 ●第5章:華北における細菌戦 ●終章:細菌戦部隊の最後

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

87
七三一部隊を取り上げた本では最新の本。この部隊に関する本についてはいろいろ読んでみた。今年の国会でもこの七三一部隊について野党から質問があったようで、それに対して七三一部隊の存在については認めたものの何をしていたのかの史料についてはわからない。という答弁。南京事件も同様、過去のことだから判らない、事実誤認だ、そもそもそれはなかった、中には反日のデマという話もある。遠い過去の戦争でも解明することは必要だと思う。あの戦争は加害者でもあり被害者。敵、味方関係なしに真実は究明しなければいけないと感じた。図書館本 2025/09/05

skunk_c

72
日中戦争に関して若手研究者の中で極めて丁寧な仕事を続けている著者が、細菌戦についてまとめたもの。満洲にあった731部隊が、ノモンハン戦などで給水活動をしていたことは他書で見たが、その背後で如何にペスト菌の培養や散布を行っていたか、その具体的手法と被害の実態が克明に記されている。また中国の他の地域やシンガポールの同様な部隊の活動、ビルまでの細菌戦など、初めて読む話も多かった。この著者らしく、史料吟味が丁寧で、史料のないところについては当て推量せずにその旨を書いており信頼できる。石井以上に井本参謀の罪は重い。2025/08/27

さとうしん

22
七三一部隊による細菌兵器開発と細菌戦の実態について、基礎知識を提供するよい概説となっている。本来対ソ防衛のために開発された細菌兵器が日中戦争で投入されたこと、生々しい人体実験の詳細、細菌戦が敵兵だけでなく北京のような大都市も含めた現地住民、更には日本兵自身も犠牲となったこと、細菌兵器の開発が決して医学の発展に結びつかなかったことなどをまとめる。戦時中の中国の細菌兵器に対する防疫のあり方を見てると、これが現在のコロナ対策に何某か影響を与えたのではないかという気もする。2025/07/22

ののたま

14
長期化する戦争を打破する名目で行われた細菌戦は民間人だけでなく味方も巻き込み戦争の長期化を招いた。現在でも両国に禍根を残す戦争犯罪である。これのどこが「聖戦」なのだろうか。この史実を直視せず、あの戦争を美化してはならない。戦没者を追悼することも大事だが、同胞が犯した罪を知ることも大事2025/08/17

電羊齋

13
これまでの先行研究を受け、七三一部隊が開発した細菌兵器が日中戦争でどのように使用されたかという全体像を明らかにする。わかる点とわからない点を切り分け、慎重に検討している点に好感が持てた。本書では日中戦争での兵力不足による行き詰まりの打開のために細菌戦が行われたという背景、細菌戦が単に七三一部隊だけでなく、日本陸軍の上層部により組織的に行われた実態、作戦次元での細菌兵器の使用目的と使用の様相、細菌兵器による被害を描き出す。細菌兵器が中国の軍と民間人、さらには日本軍にも被害をもたらしていた様子には慄然とした。2025/08/18

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