ぱらりBOOKS<br> ホテル物語 グラフホテルと5つの出来事

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ホテル物語 グラフホテルと5つの出来事

  • ISBN:9784838732869

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内容説明

日本では村上春樹研究でも知られる作家イム・キョンソンによる、ホテルを題材にした珠玉の短編集。年末の閉業を控えた名門「グラフホテル」を舞台に、5人の大人たちが、それぞれの人生の転換点・区切りを迎える出来事が描かれる。

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「一か月間のホテル暮らし」
後輩監督の脚本チェックの仕事を引き受けることとなった映画監督のドゥリ。グラフホテルの部屋を用意され、そこで1カ月間集中して仕事に取り組むことになったが、かつての栄光と現在のギャップに心が揺れる。自身の体調の変化も重なり、思うように仕事が進まないでいたが、ある人との再会をきっかけに、彼女は新たな決意をする。人生の節目に彼女が下した決断とは?
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「フランス小説のように」
女と会うために、仕事中にも関わらずグラフホテルに向かう男。女の「フランス小説みたいなことをしたい」というリクエストに応えて、男は昼日中のホテルで女と密会することにしたのだ。非日常の世界で燃え上がる二人だったが、女のふとした言葉に男の心は揺さぶられる。はたして二人の関係はどうなるのか?
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「ハウスキーピング」
人とのかかわりをこばみ、SNSで発信されるひいきの作家の投稿を心の支えに、グラフホテルでハウスキーピングメイドとして働くジョンヒョン。完璧な清掃を繰り返す日々に充足感を得ていたが、そんなある日、過去の同級生との再会が彼女の心に波紋を広げる。
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「夜勤」
夜勤のドアマンとして働くトンジュ。勤勉な彼には、過去にある年上の女性との燃えるような恋と別れの経験があった。そのほろ苦い思いもそろそろ薄らいできたそんなある日、二人は思いもかけない場所で再開することに…。過去と現在の思いが巡る中、トンジュと女が最後に下した決断は? 韓流恋愛ドラマを思わせる純愛と悲しい別れの物語。
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「招待されなかった人々」
毒舌で人気の芸人サンウは、先輩芸人ヨンイルからセレブリティとの食事会に誘われる。その芸風とはうらはらに、人みしりのサンウはなかなか話の流れに乗れないでいたが、そこにいた投資顧問の男バンと意気投合する。ふたりは男同士の交流を深めるが、しかし「バンがなぜ自分と交流するのか」がわからないサンウは、意を決してその思いを吐き出すが…。閉館を控えたグラフホテルのピアノバーで繰り広げられる大人の軽妙な会話劇にも注目。
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mame

9
とあるホテルの閉館が知らされると、日本だと最後にと人が集まりそうだけど、韓国では過去のものとなるらしい。このホテルにまつわる短編5つ。1作目、3作目が好き。2025/05/13

turtle

9
ソウルにあるクラシックなグラフホテルに関わる人たちの短編集。閉館まで半年という終焉に向かう中でのちょっとお洒落な雰囲気と人々の静かなやり取り。作者や作品についての知識が全くなく、タイトルに惹かれて図書館で予約した本でしたが、とても好きな文章と作風。なんとなく村上春樹さんの作品の読後感と似ていたので調べてみたら、イム・キョンソンさんは村上さんが大好きなようで納得。他の作品も読んでみたいです。2025/03/23

だいふく

7
閉館の決まった名門ホテルの最後の半年間に起きた5つのお話。それぞれちゃんと話が終わるというよりは、この後どうなるんだろう?というところで終わっているので、好みが分かれるかも。一番その後が気になるのは「フランス小説のように」。読みやすかったのは「ハウスキーピング」。2025/02/05

湯こ里

3
閉館間近なソウル市内のクラシックホテルが舞台の短編集。どの話も、ままならない人生を生きる大人の寂しさ・切なさがあり、読後にしんみりした気分になった。*第2話の『フランスの小説のように』では、昼下がりのホテルの部屋で、女が男に言う。ホテルの閉館に合わせて、自分たちの関係も終わりにしようと。てっきり不倫関係かと思いきや、読み進めていくと、実はこの男女は夫婦だとわかる。「終わりにしよう」という言葉が、がぜん重くなる。2025/02/04

お抹茶

2
閉館が迫ったソウルのクラシックホテル。そこに訪れる人や働く人を主人公にした短編集。もっとホテルそのものに焦点が当たればよかった。ままならない人生の悲哀を伝える。物語の構成としては「夜勤」や「招待されなかった人々」に漂うやるせなさが切なかった。2025/01/29

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