内容説明
〈「いったいあんたはんは誰のために、なんのために菓子をこしらえたはるんや」〉
〈第四回京都文学賞「一般部門優秀賞」「読者選考委員賞」ダブル受賞作品(原題『一菓』)。〉
大学を卒業し、とくに夢や目標があるわけではなく毎日を過ごしていた主人公の雄司。ところが偶然に入った和菓子屋「洛中甘匠庵」で目にした「求む、菓子職人」の貼紙をきっかけに、京都島原の有名和菓子店で修業を始める。一年後に後継者を決めるという。腕は一流だが昔気質で頑固な大将との衝突、他の職人との争い、地域の人々や店の仲間たちとの交流を通し、職人として成長していくが、やがて大将の体調にも変化が……。菓子職人としての覚悟、伝統を受け渡す者と受け取る者の想いを描き出す。第四回京都文学賞「一般部門優秀賞」「読者選考委員賞」ダブル受賞作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
97
和菓子職人を目指す青年の物語。舞台は京都。 「人生一度きり。大好きなものに自分を没頭させてみたいんです」打ち込めるものが見つかった若者のひたむきさが清々しい。金魚鉢、栗鹿の子、四季おりおりの京都の風情も感じられて良かった。 2025/08/13
kayo
21
ジャケ読み。私いい勘してました。面白かったです。和菓子スポ根とでも言いましょうか。京都の街や和菓子に詳しく、もしくは和菓子作りに心得がある方には更に面白い作品と思われます。車のディーラーから和菓子職人への転身する主人公の宮本。まともに修行も許されない下地の無さから振り幅で翻しての成長。ヒール役の人物もいますが、それがまた良い感じに効果的に物語に味を出し、その実悪人ではない塩梅が利いています。店の大将の加齢に伴うピンチをチームワーク良く支える姿に涙しました。人を思って作る菓子の美味しさを文で味わいました。2025/07/06
そうたそ
12
★★★★☆ 京都島原の老舗の和菓子店で修行を始めた青年の覚悟と成長を描くストーリー。京都文学賞の一般部門優秀賞と読者選考委員賞のダブル受賞作とのことだが、和菓子の世界と京都という舞台の相性が抜群で、京の町の雰囲気が作品世界に彩りを添えていたように思う。和菓子の制作過程もしっかりと描かれており、総じて著者の筆力が感じられる内容だった。昔気質な大将をはじめ、主人公を囲む面々も個性豊かで温かく、ほっこりとさせられる読後感。読むと和菓子が食べたくなるのはもちろん、食べる前に鑑賞したくもなるはず。2025/08/14
ゆり
4
主人公が話すときには一人称が俺、地の文のときには一人称が私になり、セリフと年齢と地の文のキャラクターの統一性が少しぶれているように感じました。素敵な和菓子がたくさん出てくるのですが、他の和菓子がテーマの小説(和菓子のアンなど)と違い、見た目は伝わるものの味や食感がわからず、技法や和菓子の見た目の説明が主になってしまっているような気がします。最後の京菓子品評会も駆け足で、応援する気持ちが固まる前にあっという間に終わってしまった。京都という舞台、若者が夢を見つけて頑張るというテーマは好きでした。2025/08/24
すずらん**
3
京大卒の若者が自動車ディーラーを辞めて和菓子職人になっていくストーリー。誰のために何のために作るのかあらゆる仕事の根本を、追求されていくようだった。大将と師匠と弟子から家族のような関係になっていく最後は涙涙だった。季節の和菓子食べたくなる一品。2025/07/20
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