メアリ・シェリー:『フランケンシュタイン』から〈共感の共同体〉へ

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メアリ・シェリー:『フランケンシュタイン』から〈共感の共同体〉へ

  • 著者名:シャーロット・ゴードン【著】/小川公代【訳】
  • 価格 ¥2,178(本体¥1,980)
  • 白水社(2025/07発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 570pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784560091449

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内容説明

北村紗衣さん推薦! SF/現代ホラーの産みの母の人生

『フランケンシュタイン』はメアリ・シェリーが十代で執筆した代表作だが、人口に膾炙している怪物の視覚的イメージが先行しているからか、この物語が誕生した伝記的な背景は、この有名すぎる作品ほどは知られていない。
メアリ・シェリーの作家人生は、彼女の両親である急進派思想家のウィリアム・ゴドウィンとフェミニズムの先駆者と呼ばれるメアリ・ウルストンクラフトの出会いから宿命づけられていたといえる。
本書で綴られるメアリ・シェリーの伝記的な情報は、『フランケンシュタイン』の思想のバックボーンと彼女が生み出したほかの小説や旅行記とどのようなつながりがあるかを理解するうえで、不可欠なものである。
メアリが実人生で体験する苦しみ――産褥熱による母の死、流産、夫パーシー・シェリーの死、生き残った一人息子をめぐる義父との協議など――と『フランケンシュタイン』以降のメアリ・シェリーの思想と行動も瑞々しい筆致で描かれている。
女性作家として、あるいはシングルマザーとして直面した問題意識がいかに形成され、作品として結実したか、余すことなく論じた記念碑的名著!

[目次]
 謝辞
第1章 遺産
第2章 ゴシックの叛逆
第3章 『フランケンシュタイン』
第4章  初期の女性の語り手──『フランス、スイス、ドイツ、オランダの一地域をめぐる六週間の旅行記』、『マチルダ』(一八一七~一八二一年)
第5章 『ヴァルパーガ』、『最後のひとり』、『パーキン・ウォーベックの運命』、そして新たな『フランケンシュタイン』(一八二一~一八三一年)
第6章 最後の仕事、一八三五~一八四四年
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訳注

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

127
文学上のキャラクターが人気を博したため、創造主である作家が忘れられた例は多い。メアリ・シェリーもその一人と思っていたが、実際の彼女は女性の自由を認めない当時の英国社会の犠牲者だった。不倫に走りシングルマザーとなった生き方を認めず、女が書いたというだけで作品の価値を否定され、母譲りの先駆的フェミニズム思想も無視され貧しい後半生を送らざるを得なかった。わずか18歳でフランケンシュタインの怪物を生み出したのも、不平等で理不尽な世への叛逆ではなかったのか。早すぎた「解放された女性」の心の叫びが、改めて響いてくる。2025/01/24

マリリン

37
どれだけの闇を抱えていたのだろうか...「フランケンシュタイン」読了後感じたが、闇の中に凛と佇む女性の存在に気付かなかった。生を受けた時から死がまとわりつき、女性の自由が認められない時代背景に馴染まない生き方は認められなかったが、作品の中に自身の、フェニミズムの先駆者である母親の思想を落とし込んだ筆力に感嘆。当初は自身の名前での出版も叶わなかったという。読んだのは復版したものだろう。時代背景を想うと特にトレローニーや父親も含め登場する男性が闇なら、彼女は久遠に輝く月。他の著作にも触れているが読んでみたい。2025/03/02

ぐうぐう

33
著者によれば、メアリ・シェリーの実像とその評価が正されたのは、この三十年のことだと言う(事実、それを受けて、ここ最近、メアリ・シェリーを題材とする作品が多く発表されている。訳者あとがきで紹介されているように、映画『メアリの総て』や『哀れなるものたち』がそうだが、訳者が取りこぼしている作品として、藤田和日郎『黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ』も忘れてはならない)。メアリ・シェリーの功績が歪められ、黙殺されたのには様々な要因が存在するが、(つづく)2025/04/11

アヴォカド

15
子どもの頃に読んだ『フランケンシュタイン』の作者は、確か”シェリー夫人”となっていた。思春期にシェリー詩集を読んで、へーこのシェリーとフランケンのシェリー夫人…となったが、知らなかったことがなんとたくさん。というか、彼女についてほとんど知らなかったんだな。実の父がウィリアム・ゴドウィンであることにも驚いた。そして彼女の母。彼女の人生。それらがこうして明るみに出ているのも、ここ数十年の研究の成果であること。フランケン以外にこんなにたくさんの作品を書いていることも知らなかった。2025/08/12

おだまん

12
私もフランケンシュタインの作者という認識しかなかったです。こんなに様々な作品を生み出していたとは。そして彼女の体験からあんな哀しいお話が生み出されたのね、と。強くならざるをえなかった背景にため息をつかざるを得ない。他の作品も読んでみたい。2025/02/01

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