ちくま新書<br> 忙しい人のための美術館の歩き方

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ちくま新書
忙しい人のための美術館の歩き方

  • ISBN:9784480076977

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内容説明

美術館に行きたいけど行けていないあなたへ。忙しいあなたにこそ、至福の余白時間を美術館で過ごすことが人生に必要なのです。美術館を出た後、世界が違って見えるはずです。時間がなくても、知識がなくても、大丈夫。とある現役学芸員が、美術館での過ごし方のキモとコツを、最新の美術館事情とともにガイドします。「語れる」ための鑑賞の心得も、レクチャーしますよ。さあ、スマホから顔を上げて、出かけましょう。

目次

はじめに 美術館に行きたいけどなぜか行けないあなたへ/あなたが最後に美術館に行ったのはいつですか?/本書の構成/第1章 タイパの真逆にある美術館/1 「時間はあるのに行けない」はなぜ/あなたが美術館に行けない理由は本当に時間が無いから?/余暇時間は増加傾向なのに/時間があっても美術館に行かない・行けない/二極化する来館者/子育て世代と美術館のニーズは一致している/「透明化」してしまった現役世代/2 「美術=ビジネスマンに必須の教養」ブーム/「美術は役に立つ」系書籍の流行/ロジカル・シンキングの次のアート・シンキング/「すぐ分かる」系書籍で埋まる書店棚/3 コスパ・タイパの呪縛/何もしていない時間は居心地が悪い/「可処分時間」が追い立てる/タイパの真逆にある美術館/「役に立つ・立たない」の天秤/似て非なる映画鑑賞と美術鑑賞/自発的な行動、してますか?/4 余裕のある時代は美術、余裕のない時代は技術/美術が技術だった幕末、明治/一般庶民まで美術を楽しむ余裕があった江戸時代/現代日本はどちらのフェーズか/5 普段から美術館に行く人はどこが違う?/学芸員は案外動機が分かっていない/第2章 美術鑑賞の変遷/1 最近10年でヒットした展覧会を振り返る/10年間のヒット展覧会ランキング/コロナ禍ビフォーアフター/ヒット展覧会の共通項を分析してみよう/レアなものはやっぱり見たい!──「正倉院展」/消えない海外への憧れ──「オルセー」「ルーヴル」「モネ」……/定番コンテンツという王道の安定感──印象派、琳派、国宝……/大ヒットしない展覧会にも意味がある?/2 展覧会の歴史 ヨーロッパから日本へ/特権階級にのみ許されていた芸術鑑賞/展覧会の誕生はアーティストの誕生/日本初の美術館と展覧会/日本に根付いていく展覧会制度/3 日本の展覧会の黄金時代/高度経済成長期の3大ヒット展/80年代からの「美術の大衆化・日常化」/マスメディア主導のブロックバスター展/デパート展、華やかなりし頃/第3章 美術館の新たな取り組み/1 SNSによって変わる美術館の常識/SNSを有効活用した展覧会の広報/SNSも一発逆転で集客できる魔法のツールではない/シェアを前提とした写真撮影の普及/展示作品の著作権をいかに守るか/著作権法もマイナーチェンジ/撮影許可がはらむ危険性/2 美術館のデジタルシフト/オンライン鑑賞の功罪/鑑賞を一つの体験として考える/没入型展覧会の増加/3 クラウドファンディングをする美術館の苦境/相次ぐ美術館・博物館のクラウドファンディング/クラファンで全て解決、とはいかないけれど/4 四苦八苦のインバウンド対応/文化庁が推し進める美術の観光資源化/どこまで対応する? 美術館の多言語化/第4章 SNS時代の美術館 鑑賞する側が主役になる/1 基本的な鑑賞の心得/企画展とコレクション展の違い/展覧会の探し方──スマホ、雑誌、チラシ/事前準備は必要?/必携の持ち物、あると便利なもの/展覧会は一人で行く? 誰かと行く?/美術鑑賞を最大限楽しむ秘訣/2 主体的な鑑賞をするための秘訣はアウトプット/アウトプットはあなたの体験を経験に変える/発信することで奇跡が起きるかも/どのプラットフォームを使う? どうせならバズりたい!/3 鑑賞メモの力を今こそ伝えたい/メモは最強の鑑賞補助ツール/鑑賞メモはかっこつけず何でも書くべし/あなたもメモ帳沼にハマりませんか?/4 「美術を語れる人」になるためには/学芸員が美術を語れる理由/イメージと言葉のストックを積み上げる/美術を語るための実践ワーク/第5章 結局、美術館に行く意味って何?/1 現代病の処方箋としての美術館/全部に意味がなきゃダメなの?/不要不急の筆頭とされた美術館だけれども/タイパの呪縛からの解放/時間は伸び縮みする/2 美術鑑賞とマインドフルネス/あなたの脳、キャッシュが溜まっていませんか?/忙しい毎日に余白を作る/心を止め、心を観る/美術館を出た後、あなたは世界が違って見える/3 フォースプレイスとしての美術館/人それぞれのサードプレイス/美術館はサードプレイスになり得るか/フォースプレイスとしての美術館という可能性/おわりに 今度の週末、美術館に行こうと決めたあなたへ/参考図書案内

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ひと

20
自分は割と美術館へは行っている方ですが、もっと深く楽しめるようになりたいと思い手に取りました。AIに相談して独自のメモ取りをしてみたら鑑賞体験が深まった気がしていました。紹介されていた鑑賞メモの取り方とそれを基にした記事の書き方が参考になったので、試してみたいです。美術館へ行っているのは学割がある20代前半と高齢者ばかりという現実。忙しい人ほど美術館に行ってほしいというのが学芸員であり、大学で教鞭をとる著者の願いのようです。忙しい人ほど日常生活から離れて自分に向き合う時間が必要だと思うので賛成です。2025/07/27

きのこ

7
現役学芸員による美術館についての概説書。ヒットした展覧会にはこんなものがあったのかという知識も楽しい。芋の子を洗うようなデパートの美術展で人気展を見た昔を思い出した。あまりよくわからないと書いてあったけれど、美術館に行く動機って自分の場合もやはり「そこに展覧会があるから」みたいな山登り的な動機が多い。フラッと行ってしまう。本当に何なんだろう。そして昨今の美術館博物館の経済事情もわかって、ますます行こうという気持ちになった。行くとこう、心身が洗われたり、ショックを受けて視点が変わったりするんですよね。2025/07/21

源シタゴウ

6
タイトルには「忙しい人のための美術館の歩き方」とあったが、本書のほとんどの内容はタイトルと関係ない月並みな内容。第1章と5章をタイトルに合わせて加筆した感じだ。 著者は「小さな美術館の学芸員」を名乗り、noteなどでコラムを執筆しているらしい。確かに読みやすい文章だが、新書を出版するのに本名を出さないのは無責任。これでは文責をとれない。正直、美術館に行く目的の結論もタイパの呪縛からの解放、心に余白を作る、マインドフルネスなど美術館でなくてもいい使い古された言葉が並ぶ。私の心には響かなかった。2025/08/03

お抹茶

5
学芸員ならではの中身。江戸時代のように時代に余裕があれば美術が美術として享受され得る。現代は実用的な側面が注目されやすい。美術館の公式SNSに労力をかけるよりも近隣へのアピールの方が来館者数を伸ばしやすく,来場者のSNS発信が増える工夫も必要。展覧会では,まずは肩の力を抜いて「いい加減」に見て,一巡して世界観を理解してから特に興味を惹く作品を見る。作品を見ながら頭に浮かんだことを何でもメモすることを勧める。余白,マインドフルネスが美術館の力で,作品との対話を通して心を大きく深呼吸させる。2025/07/30

てくてく

4
定期的に美術館・博物館に行きたいタイプなので、20代~50代の現役世代(忙しい人)が美術館に行かなくなる状況では少数派ではあるが、「美術館に行きたいけれどなぜか行けないあなたへ」に関する考察、美術鑑賞の楽しみ方など、成程と思う箇所がいくつもあった。そして、単に行くだけではなく、その後の振り返り(文章としてまとめ、発信する)も大事だなと思った。noteのお出かけ記録としてまとめているものもあるけれど、今後も出来る限り続けよう。2025/08/06

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