ちくま新書<br> 忙しい人のための美術館の歩き方

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ちくま新書
忙しい人のための美術館の歩き方

  • 著者名:ちいさな美術館の学芸員【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2025/07発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480076977

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内容説明

美術館に行きたいけど行けていないあなたへ。忙しいあなたにこそ、至福の余白時間を美術館で過ごすことが人生に必要なのです。美術館を出た後、世界が違って見えるはずです。時間がなくても、知識がなくても、大丈夫。とある現役学芸員が、美術館での過ごし方のキモとコツを、最新の美術館事情とともにガイドします。「語れる」ための鑑賞の心得も、レクチャーしますよ。さあ、スマホから顔を上げて、出かけましょう。

目次

はじめに 美術館に行きたいけどなぜか行けないあなたへ/あなたが最後に美術館に行ったのはいつですか?/本書の構成/第1章 タイパの真逆にある美術館/1 「時間はあるのに行けない」はなぜ/あなたが美術館に行けない理由は本当に時間が無いから?/余暇時間は増加傾向なのに/時間があっても美術館に行かない・行けない/二極化する来館者/子育て世代と美術館のニーズは一致している/「透明化」してしまった現役世代/2 「美術=ビジネスマンに必須の教養」ブーム/「美術は役に立つ」系書籍の流行/ロジカル・シンキングの次のアート・シンキング/「すぐ分かる」系書籍で埋まる書店棚/3 コスパ・タイパの呪縛/何もしていない時間は居心地が悪い/「可処分時間」が追い立てる/タイパの真逆にある美術館/「役に立つ・立たない」の天秤/似て非なる映画鑑賞と美術鑑賞/自発的な行動、してますか?/4 余裕のある時代は美術、余裕のない時代は技術/美術が技術だった幕末、明治/一般庶民まで美術を楽しむ余裕があった江戸時代/現代日本はどちらのフェーズか/5 普段から美術館に行く人はどこが違う?/学芸員は案外動機が分かっていない/第2章 美術鑑賞の変遷/1 最近10年でヒットした展覧会を振り返る/10年間のヒット展覧会ランキング/コロナ禍ビフォーアフター/ヒット展覧会の共通項を分析してみよう/レアなものはやっぱり見たい!──「正倉院展」/消えない海外への憧れ──「オルセー」「ルーヴル」「モネ」……/定番コンテンツという王道の安定感──印象派、琳派、国宝……/大ヒットしない展覧会にも意味がある?/2 展覧会の歴史 ヨーロッパから日本へ/特権階級にのみ許されていた芸術鑑賞/展覧会の誕生はアーティストの誕生/日本初の美術館と展覧会/日本に根付いていく展覧会制度/3 日本の展覧会の黄金時代/高度経済成長期の3大ヒット展/80年代からの「美術の大衆化・日常化」/マスメディア主導のブロックバスター展/デパート展、華やかなりし頃/第3章 美術館の新たな取り組み/1 SNSによって変わる美術館の常識/SNSを有効活用した展覧会の広報/SNSも一発逆転で集客できる魔法のツールではない/シェアを前提とした写真撮影の普及/展示作品の著作権をいかに守るか/著作権法もマイナーチェンジ/撮影許可がはらむ危険性/2 美術館のデジタルシフト/オンライン鑑賞の功罪/鑑賞を一つの体験として考える/没入型展覧会の増加/3 クラウドファンディングをする美術館の苦境/相次ぐ美術館・博物館のクラウドファンディング/クラファンで全て解決、とはいかないけれど/4 四苦八苦のインバウンド対応/文化庁が推し進める美術の観光資源化/どこまで対応する? 美術館の多言語化/第4章 SNS時代の美術館 鑑賞する側が主役になる/1 基本的な鑑賞の心得/企画展とコレクション展の違い/展覧会の探し方──スマホ、雑誌、チラシ/事前準備は必要?/必携の持ち物、あると便利なもの/展覧会は一人で行く? 誰かと行く?/美術鑑賞を最大限楽しむ秘訣/2 主体的な鑑賞をするための秘訣はアウトプット/アウトプットはあなたの体験を経験に変える/発信することで奇跡が起きるかも/どのプラットフォームを使う? どうせならバズりたい!/3 鑑賞メモの力を今こそ伝えたい/メモは最強の鑑賞補助ツール/鑑賞メモはかっこつけず何でも書くべし/あなたもメモ帳沼にハマりませんか?/4 「美術を語れる人」になるためには/学芸員が美術を語れる理由/イメージと言葉のストックを積み上げる/美術を語るための実践ワーク/第5章 結局、美術館に行く意味って何?/1 現代病の処方箋としての美術館/全部に意味がなきゃダメなの?/不要不急の筆頭とされた美術館だけれども/タイパの呪縛からの解放/時間は伸び縮みする/2 美術鑑賞とマインドフルネス/あなたの脳、キャッシュが溜まっていませんか?/忙しい毎日に余白を作る/心を止め、心を観る/美術館を出た後、あなたは世界が違って見える/3 フォースプレイスとしての美術館/人それぞれのサードプレイス/美術館はサードプレイスになり得るか/フォースプレイスとしての美術館という可能性/おわりに 今度の週末、美術館に行こうと決めたあなたへ/参考図書案内

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

nonpono

98
帯より、「人生のリズムを整える。」、「現役学芸員=人気noteライターによる、ユーモア溢れる美術館ガイド」と。印象的なのは、著者が数十人の美術館好きの意見を聴きながらある共通点を見いだすこと。「それは、人生のどこかの時点、多くは十代や二十代前半の若い時期に何らかの衝撃的な鑑賞体験をしていること」。わたしは美術館が大好きだが、その大きなきっかけの一つは、若い頃にインドを旅して数々の世界遺産を眺めたことだ。カジュラホのエロっティックで美しい彫刻に圧倒された自分を今でも強烈に思い出す。何か扉が開いた瞬間だった。2025/12/19

shikashika555

42
書店でタイトルに惹かれて。 何か効率的な美術鑑賞の方法があるなら読んでみたいと思った。 結果としてそんなファストなんとかみたいな鑑賞方法は無いのだが。 「(美術鑑賞は)VRで満足できるようなものではなく、旅行などと同じくひとつの体験」であるとの見解に深く同意する。 私にとって美術館は刺激であり娯楽であり息抜きでもあり癒しでもある。 やはり足を運んでこそであるし、そこに生じる無駄な時間も味わいたい。 現実には企画展では鼻息荒く回るのが主で無駄な時間を味わえるのは常設展や平日のコレクション展ではあるが。 2025/09/19

Shun

38
美術館に興味はあるが働き世代の多くは忙しさを理由に中々足が向かない現状を指摘。来館者のデータから見えてくることは、美術館に足を運ぶことが多いのは社会人以前の世代か定年以降の世代で、中間の働いている世代は低くなる傾向があるそうです。その理由は働いていると時間が取れないこともそうですが、タイパやコスパを追い求めるあまり本当は時間があるけど忙しいと錯覚してしまっていることも大きな理由でしょう。コロナ禍で不要不急の対象に美術鑑賞も挙げられてしまい、果たしてそうなのか、そしてタイパの低い美術鑑賞の意義を考えます。2025/08/19

白ねこ師匠

34
[★★★]ちょうど近々美術館に行く予定、というタイミングに新聞で本書の宣伝を見かけて購入。ある匿名の学芸員さんによる美術館のススメの本。この方はnoteでの発信を長く続けてるそうで、さらりと読みやすい文章だった。内容も知らなかったことが多く、持ち物やメモ取りなど今回からさっそく参考にさせてもらった。最終章で「フォースプレイス」の話があったが、自分が時々美術館に足を運ぶ理由はこれが近かったように思う。だからといってどんな展示でもいいかと言うとそうではありませんが…2025/08/19

moonlight

30
タイパがもてはやされる現代において、不要不急の美術館に行く意味は何か?本当に行動全てに意味がなきゃダメなのか?忙しい毎日に余白を作ることをしてもいいじゃないか、何かを学ぼうと躍起になるのではなく自分なりに感じることで心には刺激になる。そしてそれを記録することでまた鮮やかに振り返ることができるしアウトプットすることで新たな楽しみも見つかる、と。個人的にはその場でなんか良い物見たなぁ☺️と感じればそれで満足だが、一歩踏み込んでメモをとってみるのもいいかも。2025/09/21

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