内容説明
藤沢の耕餘塾を卒業してから、学府を転々とした吉田茂は、20歳で学習院中等科に編入することになり、夏休みを大磯の別荘・松籟邸で過ごしていた。隣人・天人は茂にとってよき相談相手であり、いつも茂を守ってくれる頼もしい存在だった。やがて日本人悲願の改正条約施行日がやってくる。茂の敬愛する陸奥宗光が心血を注いで締結に漕ぎつけたものである。明治32年(1899)7月17日――横浜は、祝賀ムードに沸いていた。しかし、その国際港の桟橋に豪華客船より降り立ったのは、天人を息子の仇と憎み、復讐のチャンスをうかがう男だった。迫り来る危機に茂はどう対処するのか。茂と天人が力をあわせ、敵に立ち向かう明治青春小説&活劇ミステリー第三弾、完結編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
信兵衛
18
総括して言うと、若き日の吉田茂の青春譚であり、天人・シンプソンという類稀な人物との交遊&冒険譚。 いろいろな事件があったなぁと思うと、その日々の終わり、別れを迎えるとき、(舞台が大磯だっただけに)夏の終わりの寂しさを感じます。2025/08/04
spike
2
胸のすくような大団円。登場人物が脇役含め好人物なことは第二巻の感想と変わらず。改めて気付かされるのが、人物だけでなく舞台となる町などの描写もまた解像度が高いこと。これがまた小説の魅力を増している。特に自分が横浜出身なこともあり、横浜の町の、その地形も交えた描き方が絶品だと思う。彼女(誰かはネタバレになるのでここでは触れない)はやっぱり最後に持っていくのだな、とそれも微笑ましい。2025/07/30
蝉、ミーン ミーン 眠ス
0
当時の情勢や事件を色々絡ませてきてはいるがどれもちょっと首を突っ込んだ程度の内容で物足りないし、結局吉田茂の少年期には興味がわかないしそこをメインに据えられてもなあという最初の印象が覆ることのないまま作品が終わった。2025/08/11
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