内容説明
戦時下、いじめは大量生産されていた。
全裸での身体検査、牢獄のごとき学童疎開、自殺率世界一位の日本軍……
「女子と女子を向かい合わせて、往復ビンタを食らわせた」
「犬の鳴き声を出して班内を回るのだ」
「何が戦死なものか。彼は殴り殺されたのです」
最新のいじめ研究があぶりだす、戦時下の暴力と現代日本の課題。
数多くの証言と時代背景を整理し、陰惨さの実相に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ののまる
8
戦闘より軍隊に入ってからの上官からのイジメが耐えがたかった、という体験談はよく聞く。疎開先の子ども、隣組、いろんなところでのイジメ。いまの自衛隊や体育会系、職場、学校でも見られる体罰とイジメ。2025/07/27
えだまめ
4
「いじめ」を切り口に、戦時中のオーラルヒストリーを中心にまとめた本。戦争に限らず、人間社会に普遍的に起こる構造的な問題もあったり、戦時中の環境がそれを加速させたり。長らく戦争を中心とした筆者が重ねた取材の横串として、「いじめ」というまとめ方がしっくり来たそうだ。先の大戦には多くの人の苦しみと、ネガティブな人間集団の性質が先鋭化していた。2025/07/22