内容説明
洒落者の猫井は紳士服店の若旦那、禿頭が眩しい藪歯医者の三島に写真館の床川夫妻、そしてレンタルビデオ屋の僕、青野良児。年齢も職業もまちまちな僕らは、土曜の夜になるとダンディなマスターの店『えいぷりる』に集い、地蔵坊先生の話を聴く。この先生、鈴懸に笈を背負い金剛杖や法螺貝を携え……と十二道具に身を固めた正真正銘の山伏なのだ。放浪中の体験談といって披露してくれるのは、およそ実話とは思えない怪しい事件揃い。額面通りに受け取れば、彼はさながら遍歴する名探偵だが。さて、眉に唾をつけつつ今宵も幕を開けるとしよう――「面白そうですね。ぜひ聞かせてください」/【目次】第一話 ローカル線とシンデレラ/第二話 仮装パーティーの館/第三話 崖の教祖/第四話 毒の晩餐会/第五話 死ぬ時はひとり/第六話 割れたガラス窓/第七話 天馬博士の昇天/あとがき/文庫版あとがき/解説=戸川安宣
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥
59
(2025-161)有栖川さんのデビュー35周年を記念したトリビュート作品で知った山伏地蔵坊、オリジナルを読んでみたくなりました。土曜の夜、とあるスナック「えいぷりる」に集う常連客。彼らの楽しみは、山伏の地蔵坊が語る七つの事件の謎解き。地蔵坊はお気に入りのカクテル「ボヘミアン・ドリーム」を空けながら、ゆっくりと物語を始める。短編でありながら、ちゃんと問題編と回答編を用意しているところはさすが有栖川さん!というところ。資産家の家で起こった殺人事件「毒の晩餐会」の顛末など、なかなか面白かったです。★★★★2025/10/17
オーウェン
51
週末の土曜日にバーの「えいぷりる」に集まる常連客。 客が楽しみにしているのは山伏の不思議な話を聞くため。 それは殺人事件であり、山伏が探偵となって解いた謎。 全部で7編あるが、コスプレ会場だったり、電車の中だったり。 その中で殺人が起こり、山伏が途中経過までを話す。 そこからバーの客が推理する。 つまりこれは読者への挑戦でもある。 有栖川さんにしては珍しい年配のキャラだが、推理はかなり王道をいっている。 このキャラで続編は可能だと思ったが、それを消すように最後の話で謎にしているのだからないのだろう。2025/09/19
優希
47
スナック『えいぷりる』。集う人々の楽しみは、土曜の夜に語られる山伏の物語。ゆっくりと語られる物語は、山伏の語りだからか、ふわりとした雰囲気を感じました。ほのぼのとした推理ものと言っても良いと思います。面白かったです。2025/12/02
Porco
22
Bar「えいぷりる」に集まる常連客が楽しみにしているのは、土曜の夜に現れる山伏の推理話を聞くことだ。本作の出題者にして探偵役の山伏地蔵坊が、彼が巻き込まれて解いたらしい殺人事件を体験談として出題し、常連客が酒の肴に推理するという体裁で進行する連作短編。多少の古さはあれど、どんでん返しの奇抜さやトリックより物語を重視したりはしない、今になっては懐かしさすら感じる読者が謎解きを楽しめる推理小説。悪くはない、たまにはこういうものも読みたくなる。2025/10/17
紫陽花
12
土曜の夜、スナック「えいぷりる」で山伏の地蔵坊先生が遭遇した事件の話を先生自らが語る、安楽椅子探偵物の連作短編ミステリー。有栖川有栖の初期の作品で、作者の探偵物で安楽椅子探偵は珍しい。しかも助手では無く探偵が事件の一部始終を語る。あまり無いタイプの安楽椅子探偵の小説。客観的に淡々とした口調で語られる事件は多少都合が良い部分もありますが、手がかりを堅実に組み立てて自分では考えられなかった推理で面白かったです。「毒の晩餐会」と「割れたガラスの窓」が特に良かったです。2025/11/17
-
- 電子書籍
- キスはスーツを脱いでから (16)~悪…
-
- 電子書籍
- TOKYO TRIBE 2【秋田書店電…
-
- 電子書籍
- 学園アリス 16巻 花とゆめコミックス
-
- 電子書籍
- みつどもえ 2 週刊少年チャンピオン
-
- 電子書籍
- みつどもえ 1 週刊少年チャンピオン




