内容説明
どうかあなたに、希望の光がさしますように。
「太ったら、食べちゃダメなの」。幼いころに聞いた母の言葉をずっと忘れられないでいる早織。
早織は小学校6年生ごろから体重が増えはじめ、体型を何よりも重視する母は彼女の食事量を厳しく制限した。お菓子はダメ、お代わりはダメ。でも、もっと食べたい、もっと痩せたい。
早織は食べて吐くを繰り返すようになり、吐くための食料を手に入れるため、食べ物を万引きするようになってしまう。結婚をして夫と娘と仲良く暮らしながらも、彼女は万引きをやめられないでいた。
そんなある日、早織は妹からの電話を受ける。それはずっと避けていた母の命が、もう長くないと告げるものだった――。
母の呪縛。痩せたいという願い。間違いだとは分かっているのに、今日も彼女は正解を選べない。
既刊続々実写ドラマ化、『殺した夫が帰ってきました』『塀の中の美容室』で大注目の著者が描く新境地の傑作小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mana
99
過食嘔吐(摂食障害)がきっかけで万引き依存症になってしまった母親の物語。小さい頃から、ずっと苦しかった。それでも生きていかないといけない。だから、摂食障害になり、万引きに走るようになった。決してスリルからではなかった。「もったいない」という当たり前の感情からなのだが、許されることではない。コントロールできない難しさや、家族からの理解が得られない環境など、ただただ苦しい。こういう人がいると知ってもらうためにはよいテーマの小説だった。後半、人との出会いで変わっていくのも、希望を持たせていてよかった。星8/102026/06/16
ゆいまある
80
しんどい。暗い。過食嘔吐を伴う摂食障害に窃盗を伴うことは多い。うちの待合室の備品もごっそり無くなった。摂食障害よりも併発した病的窃盗に焦点を当てた小説。摂食障害への掘り下げは浅く、窃盗伴うのはもう少し人としてバランスが悪いのが一般的だが、こういう病気があると丁寧な語り口で知らせてくれたのは有難い。主人公は結局3つ目の医療機関で治療に繋がる。私もいい治療者でいようと思うが、摂食障害の治療って本当に手間も時間もかかるので、読んでる間ずっと気持ちが滅入った。悩んでる人には是非読んで欲しい。Audible2026/01/28
ネギっ子gen
78
【自分でもよくわからない。ただ、見えない何かに背中を押されるように、私は自分の動きを止めることができなかった】母の呪いの言葉を縛られ、過食と嘔吐を繰り返し、吐くための食料を万引きして――。しんどい読書に……。<なぜか、万引きをするときはいつも「いいんじゃない」と思っていた。だって私は、辛いんだもの。辛くて、辛くて、死にたくなるくらい、辛いんだもの。お腹いっぱいにして、吐くときだけが、頭の中を真っ白にすることができるんだから、これくらい許してよ。その場しのぎの行為にすがって、私は生きるしかなかった>と――⇒2025/11/20
Ikutan
66
タイトル通り嘔吐過食症と窃盗症で苦しむ女性が主人公。優しい夫と中学生の娘と暮らす早織は真面目な性格。「太ったら、食べちゃダメなの」幼い頃の母親の言葉にとらわれて、ストレスから始まる過食と嘔吐が止められない。そして、金銭的には不自由していないのに、「どうせ吐いてしまうから」と食べものの万引きを繰り返してしまう。夫や娘に知られても止められず、ついには、逮捕、刑務所生活。出所後も止められない衝動と自己嫌悪。リアリティがあって、読み進めるのが何とも辛い。知らなかったことが多く、これは周囲の理解が必要だと痛感した。2025/09/01
ごみごみ
54
拒食からの過食、そして嘔吐。痛々しい描写がリアルで苦しい。でもきっと想像の何倍も苦しいのだろう。食べたいという衝動を抑えきれず、万引きを繰り返し、食べては吐いて自己嫌悪に陥る悪循環。分かっているのにやめられない恐怖。窃盗の罪が露呈しても、家庭を犠牲にしても・・今までの人生で、そういった摂食障害を抱えた人に会ったことはないと思っていたが、気がつかなかっただけかも知れない。適切な治療を受けること、そして何より周囲の理解が必要。やっと手に入れた平穏な日々、その光を2度と手放さないでと願うばかり。2025/07/19
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