内容説明
遺された謎が解けたとき、涙があふれだす。
巣鴨の路地裏にたたずむ、遺影専門の写真館《雨利写真館》。先月急逝した祖母が撮影されたときの話を聞くために、黒子ハナは写真館を訪れる。奇妙な遺言状を作っていた祖母の真意を知るための、手がかりを求めてのことだった。カメラマンの雨利や経理の夢子の協力で、ハナは祖母の最期の望みに気づく――。
写真館で働き始めたハナはその後、心にわだかまりを抱えた人たちと出合う。不審な転落事故や、意味不明なメモの残る妊婦の写真。様々な謎と向き合いながら、ハナも自分の人生を見つめ直す。日本推理作家協会賞受賞の名手が紡ぐ、希望と再生のミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
264
儂の知る芦沢ワールドとはちょっと違う感じのプロローグ+3話連作短編+エピローグ。『十年目のあとがき』を見るに、作品の作り方に関する考え方も随分と変わった様で、単行本版からは大きく手を加えているみたいですね。第1話目のハナさんは可成りこっ酷く騙されているのですけれど。詐欺罪とか問えるんじゃないでしょうか。お咎めなし。お咎めなしなの。気になる。おばあちゃんは遊び心があって良いですね。終話も細い線を手繰り寄せて真相を知る事になるのね。この写真館、ちゃんと儲けを出しているのか心配になるよ(。•́ - •̀。)。2026/04/28
みかん🍊
84
巣鴨にある遺影専門の雨利写真館に亡くなった祖母が遺影を撮る時に話した事を聞きにやってきたハナは婚約者と仕事を失い引きこもっていたが、何故あの祖母が母親だけを除外した遺言状を残したのか落ち込む母の為に知りたかった、その後雨利写真館でスタイリストして勤務する様になったハナが関わる3つの事例、終活写真を撮りにやってくる人はそれなりに歴史を重ねて様々な思いがある人が多いのでちょっとした謎を解くことで気持ちが落ち着く事もある、写真を撮る前にカウンセリングがあるのは良いことかもしれない。2025/09/05
いたろう
78
巣鴨の商店街にある遺影専門の写真館、雨利写真館を舞台にした、日常の謎解きミステリ。全3話。第1話で、急に亡くなった祖母の遺言状に納得がいかない、この小説の主人公ハナが、何かヒントがあるかと、祖母が生前、家族に内緒で遺影を撮っていた雨利写真館を訪れるところから始まる。第2話以降では、そのハナが、ヘアスタイリストとして、雨利写真館で働くことに。本作は、文庫化に当たって全面的に改稿したということだが、元々、芦沢さんのデビュー間もない頃に書かれた作品のよう。他の芦沢作品に比べて、軽いタッチのミステリになっている。2025/12/28
Karl Heintz Schneider
54
「実は亡くなられた後に一番長い時間ご家族の目に触れ個人の印象を決定づけていくのはこの遺影なんです。」雨利写真館は遺影だけでなく終活をサポートする写真館。東京・巣鴨地蔵通り商店街を抜けた住宅街にある。ハナは祖母の残した不思議な遺言書の謎を解き明かすべく遺影を取ってもらった雨利写真館に足を運ぶ。それをきっかけにヘアスタイリストとして働くことに。店に来る様々な人たちと触れ合い自分の人生を見つめ直す。芦沢央さんは本作で二作目。前作はあまりピンとこなかったが今作は自分の苦い経験を思い出せてとても有意義な読書だった。2025/10/17
エドワード
54
あとがきで遺影専門の写真家が実際にいることを知る。巣鴨にある遺影専門の雨利写真館が舞台の三つのミステリー。その一:スタイリストの黒子の祖母はクイズを出すのが大好き。遺産相続までクイズとは?その二:黒子は写真館のヘアメイクとして雇われる。息子は母親の転落死をなぜ放置したのか?祖父、父、息子のこじれた関係が修復される。その三:写真館を取材するテレビ局が見つけたある遺影、妊婦と夫らしい写真の謎。無愛想なカメラマン・雨利、助手の軽い道頓堀、機転のきくコーディネイター・夢子、チームワーク満点だ。活字が大きいよ。2025/08/15
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