内容説明
らんたんの灯を絶やさないで。それは教育という名の希望なのだから――。伊勢に生まれた河井道は、札幌で新渡戸稲造に学び、米ブリンマー大学に留学、帰国後は津田梅子が創設した女子英学塾で教えた。良妻賢母ではなく、ひとりの人間として生きるための女学校をつくろうと、道は教え子の渡辺ゆりと奔走する。明治・大正・昭和の女子教育を築いた〈魂の姉妹〉(シスターフッド)を描く、輝きに満ちた大河小説!(解説・村岡恵理)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
エドワード
27
恵泉女学園の創設者・河井道の生涯を描く、まさに大河ドラマだ。明治時代、伊勢の神職の家に生まれた道は、函館へ移住し、キリスト教徒となる。新渡戸稲造と出会い、彼の勧めで米国の大学への留学し、知見を得て帰国、津田梅子の女子英学塾の教師となる。教え子の渡辺ゆりと出会い、生涯の友情を培う。キーワードはシスターフッドとシェアだ。女性に学問は不要という時代。女性の人間性を育む学び舎を創る道の、絶やさぬ笑顔が多くの人々を惹きつける。大山捨松、広岡浅子、村岡花子、柳原燁子。朝ドラの主人公等が道の元に集う、爽快な物語だ。2025/08/20
イシカミハサミ
21
ずっと読みたいな、と思っていた柚木麻子さんの作品。 まさか初めて手にとるのが歴史小説になるとは思っていなかった。 主人公は恵泉女学園の創立者、河井道。 明治の最前線を生きた人たちは皆、パワフル。 らんたん。 シェア。 日本社会は提灯型の社会。 自身の足元を照らすので精一杯。 現代に至っても、まだ日本人は足元を照らしているようなイメージはある。 明るさを馬鹿にしない。 未だに苦労する=陰のような考え方はある。 今、改めて、大切な考え方だと思う。2025/09/15
みやび
14
今この時代にこそ道先生のような愛に溢れ情熱を持った教育者が必要だと強く思った。今の教育は様々な制約や常識に囚われていて窮屈に感じる。お札の肖像でしか知らなかった新渡戸稲造がこんなにすごい教育者だったなんて。こういう事をもっと学校の授業で教えて欲しい。道先生が最期まで訴え続けた平和で平等な世の中はいまだ実現されていない。でもこういった熱い情熱を持った女性達が積み重ねてきた過去があるからこそ今がある。道先生が灯してきた灯がこの先の未来も消えることなくずっと多くの人の心に受け継がれてゆきますように。2025/09/07
NAOAMI
11
女性の生きる権利、男女平等とか、今この世ですら満足なレベルかと言うとさほどでもない。それが明治・大正・昭和、戦前・戦中の話となると、どれほどの障壁を乗り越えるべきなのか途方に暮れても仕方がない程。女子教育という観点で津田梅子が種をまき、その次を担ったのが河井道という女性。一色ゆりとのシスターフッドな二人三脚が描かれ、新渡戸稲造と共に日米の架け橋となった。彼女の理想が戦時中砕けそうにもなるも、持ち前の明るさと根性というか開き直りで打開。憲兵と丁々発止やり合う姿もカッコイイ。ここぞと我を貫き通した足跡に感動。2025/08/14
Nobuko
9
明治大正昭和に女性の教育場をつくるべく奮闘した魂の姉妹 読み応え十分だけど最後のほうは有名人のオンパレードになっちゃった感が・・でも面白かった2025/09/10




