内容説明
人生には時々迷子になってしまう時期がある。仕事で失敗したり、恋人から別れを切り出されたり、家族に問題が生じたりすると、日常は簡単に砕け散ってしまう。まるで人生という大海原に放り出された「小舟」のようだ。僕らは今、他者との繋がりが薄れ、ひどく孤独になりやすい社会で生きている――いや、違う。僕はここにいます。独りじゃない。自他を共に愛する力を取り戻す「読むセラピー」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
25
心のセラピーの分野で、同じような内容を示唆する類書はありそうだが、本書はストーリー形式になっているため、ストンと腑に落ちた。2025/10/11
ツバサ
11
臨床心理士の著書だからこそ書ける、人の揺れ動く心情のわけが魅力でした。読んでいるこちらも面談しているように感じました。人は完全ではなく不完全。だから人は独りでは生きていけないんだなと。客観的に自分の悩みと向き合っていきたいと思った。主観では理解が足りなく、勘違いして感情的になってしまうから。迷える人達に読んで欲しい1冊でした。2025/08/22
曲線の行方
10
こういう類の本を読んでいると、自分だけじゃないと思える。自分だけが暗黒に突き落とされた、二度と這い上がれないと思うけど、みんな人間関係で悩んでるし、そういう時期は誰にもあるんだと思える。そして、考え方次第だと。カウンセリングに行ったら修正してもらえるのかな。いっそのこと催眠術をかけてほしいけど、自分で右往左往して七転八倒して、人として成長するチャンスなんだろうな。2025/10/22
urs
5
東畑さんの優しい文体のまま、議論は無駄がなくてストレートで読みやすかった。小舟化する社会への処方箋。2025/09/09
鞠鈴
4
生きにくい世の中をサバイブすることを個人が脆弱な小舟で夜の航海に出ることに例え、人との関係性や危機に面した時の心の状態などが臨床家の視点でわかりやすく語られている。これまで漠然と考えていたことが本作によって言語化されてスッキリ(やたらポジティブな人に接すると疲れるのはそういうわけかと納得)。生産性や効率性、タイパ重視の社会にあっても、白黒の二極化で判断せずどちらも併せ持つグレーゾーンを受け入れる余白を持ち、モヤモヤしたものやネガティブな感情に向き合い消化することで人は幸福に辿り着けるという件に深く頷いた。2025/10/05




