内容説明
長い雨の切れ間に女の子を拾った。「ここ、どこ?」ちぃ子と名乗るその少女はどうやら1980年代からタイムスリップしてきたらしい。ちぃ子はなぜ僕の前に現れたのか、はたして元の時代に戻れるのか、封印された記憶に隠された真相は。娘を亡くした父親と、両親のいない少女の、奇妙な「夏休み」がはじまる。すべての伏線が繋がったとき、時空を超えた愛の物語が浮かび上がる号泣必至ミステリー。(解説・大森望)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
22
娘を亡くして妻ともすれ違い、離婚してリモートワークを言い訳に自宅に引きこもる譲。彼がある日ずぶ濡れの女の子「ちぃ子」を拾うひと夏の物語。1980年代からタイムスリップしてきたらしい彼女とのギャップに戸惑いながらも、少しずつ繋がってゆく幼き日の苦い記憶。ちぃ子と共に過ごすなかで少しずつ癒やされる日々があって、どうなることかと思われたその生活の末に気づいた今に繋がる思い違いが判明して、譲がこれまで見えていたものの意味も大きく変わる中、もう一度前を向いて未来に向けて歩み始める結末には確かな希望が感じられました。2025/07/28
KDS
4
購入する本の隣りに並べてあった一冊。帯のアオリなどを見て思わず買ってしまう。一年前に娘の美玖を亡くし妻とも離婚してしまった主人公の譲は、ある夏の日道端にずぶ濡れで座り込んでいる少女を拾う。ちぃ子と名乗るその少女は、なんと1980年代からタイムスリップしてきたのだという。そのうち譲は小学生の頃、一度だけ遊んだことがある「ちぃ子」というあだ名の少女のことを思い出す。彼女は確か、少女誘拐殺人事件の被害者になったはず…?最終的な着地や彼女の正体はなんとなく予想できるが、わかっていても感動の嵐。いい読書時間だった。2025/08/03
小鳥
2
1980年代からタイムスリップしてきた少女ちぃ子。 娘を喪った譲だったが、ちぃ子との出会いで毎日が変わっていく。 読後は心温まる夏のミステリ。2025/08/01
澪
0
ある日男性が出会ったのは、1980年代から来たという小さな女の子。 ふたりの不思議な時間の中で、少しずつ心がほどけていく様子に、じんわりと温かい気持ちになりました。 物語にはたくさんの小さなヒントが散りばめられていて、最後には全てがつながっていく。 その伏線の回収が本当に見事で、読み終わったあとに「そういうことだったんだ!」って感動しました。 切なさと優しさが静かに重なっていて、タイトルの意味がふわっと心に届く、優しい物語。 大切な人との記憶や過去への想い、そして希望を感じられる、とても素敵な一冊でした。2025/08/01