内容説明
極右台頭を徹底解剖する
二〇二四年六月の総選挙で、フランスの極右政党「国民連合」(旧国民戦線)が大躍進した。本書は、この政党を率いてきたルペン親子とその台頭についての書き下ろしである。
「国民連合」が人種排外主義を標榜する極右であることに間違いはない。しかしこれは単なる右翼・極右ではない。この政党はそれなりにフランス人の心をとらえ、時には国民の反発と怒りさえ織り込み済みの上で勢力を拡大してきたのだ。
本書は、ジャン・マリ・ルペンの生い立ちからはじめて、国民戦線の結党とその時代背景をまずは取り上げる。そこで浮かび上がるのは、一九六八年の「反体制」思想である。
こうして「ごろつき」集団として誕生した国民戦線はその後、理論化と党組織の近代化に取り組み、次第に「ナショナリスト左翼」を標榜するようになる。鍵となるのは「脱悪魔化」と「ライシテ」だ。
かつてのごろつきは、いまやフランス共和国の根幹の原理である「ライシテ」を受け入れ、この「政教分離」というデモクラシーの観点から、移民問題を唱えるようになっているのだ。極右の台頭をフランス現代史から説き起こした記念碑的著作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Go Extreme
2
極右勢力の進出 成功物語 人間性を捻じ曲げた議論 隆盛期へ 栄光の三十年 失業や治安問題 社会統合の綻び ホーム・グローン・テロリスト コアビタシオン ルペン世代 脱皮 欧州を中心とした広範なユーラシア大陸の統合 ライシテ イスラム教徒に対する排外主義 生贄の子羊 政策の二面性 反エリート主義 社会経済格差に対する不満 不完全なデモクラシー せりあげ現象 寄せ木細工 政治離れ 大空間アウタルキー 普通の政党 機会主義的な論法2025/05/06
辻井凌|つじー
1
フランスを大きく揺るがし続けてきた国民連合RN(国民戦線FN)のルペン親子の足跡をフランス政治史・社会史をひっくるめて解き明かす骨太の一冊だ。「ポピュリズム」や「極右」という決まりきったキーワードだけでは彼らやその組織を説明できない。排外主義という本質は変わらないが多面的だ。 https://note.com/nega9clecle/n/n5f307ec7fe4c2025/04/04
金吾庄左ェ門
1
ルペン父娘や国民戦線(国民連合)について公正に書いていますが、ポピュリズムという表現は対象を貶めていると思います。恐らく多くのフランス人が、フランス的だと思う考え方が時代に合わなくなってきている事や、何が正しいかは自分達が決める、お前達はそれに従えという思い上がりを改めないのに対して、極右側は現実的な考えにシフトして支持を拡大しているだけです。極右をポピュリズムというならリベラルや左翼はいつまでも陋習を排せない旧態依然とした集団です。 2025/04/08
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