内容説明
ウクライナ侵攻におけるプーチン・ロシアの思想的根拠として注目を集めた「ネオ・ユーラシア主義」。その見立ては正しいのか。大国の戸惑いを反映する思想の実相を、第一人者が解き明かす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
58
現代ロシアの思想というとドゥーギンくらいしか知らず、ヨーロッパ中心とした世界秩序に異を呈している。くらいしか知らなかったのだが、本書によってその蒙を啓かれた。在野のドゥーギンとアカデミズムで活躍したパナーリンの二人を軸にロシア革命期に成立したユーラシア主義という思想とそれが現代ロシアにどのような影響を与えているかを明らかにした名著。読んでいるとロシア人の心底にはソ連崩壊後の90年代のトラウマとヨーロッパに対する二律背反的な感情が未だ強く残っているのを教えられるなあ。戦争が肯定されるわけじゃないけど。2025/08/01
紙狸
19
2025年6月刊行。ロシア・ウクライナ戦争が長期化する中、ロシアの思想を対象とする研究が、一般読者に向けた良書を生み出した。著者によれば、ネオ・ユーラシア主義が、戦争に直結した訳ではない。ネオ・ユーラシア主義を論じることは、ロシアの思想状況を理解する補助線をひくことだ。具体的思想家としてドゥーギンを最初に置いたのは世間の関心に応じたもので、著者は次章に置いたパナーリンという政治思想研究者(故人)をより高く評価しているようだ。パナーリンの議論を読んで、紙狸としては、佐伯啓思氏の所論を想起した。2025/08/12
無重力蜜柑
12
良著。「ユーラシア」はソ連崩壊後のロシアのアイデンティティを規定する概念だ。それはヨーロッパでありアジアでもある(あるいはどちらでもない)ロシアという意味内容を持ち、大抵は西欧や米国への政治的、経済的、理念的対抗関係を念頭に置いている。この発想は大戦間期の亡命ロシア人の思想(古典的ユーラシア主義)に淵源し、ソ連では政治的統制のもとで忘却されていたそれが新生ロシアで復活したのがネオ・ユーラシア主義である。ウクライナ侵攻以後は、プーチン政権の右翼イデオロギーの基盤として西側ではしばし言及される。2025/07/02
ちり
2
“プーチン・ロシアのイデオロギーの「樹」では反リベラリズムが「幹」となっており、愛国主義(自尊心)がそこに「蔦」のように沿い、反リベラリズムを共有する各種ツールは「枝」として接合されている。その結果、相互に矛盾する要素を含む「枝」が共存することもある。これは、一定の時間をかけて育った「樹」であるため、短期的スパンで切り取ろうとすると、ちぐはぐな印象に戸惑うことも多い。”2025/08/17
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